全身全霊を注ぐお茶づくりが至福の一杯を生む「大石製茶」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

全身全霊を注ぐお茶づくりが至福の一杯を生む「大石製茶」

 黙々と仕事をこなす横顔からは、お茶への情熱が溢れていました。大石修作さんは、100年続く「大石製茶」の若き4代目。生産から製茶、販売にいたるまで、ご家族でのれんを守ってきました。

「冬が寒いと、お茶の出来がいい。葉物野菜は冬の寒さでおいしくなりますが、茶葉も同じ。今年の新茶は、いいと思いますよ」

 朝はまだ肌寒い都城の春。1年でもっとも忙しい4月を前に、茶畑にお邪魔してきました。

 

【新芽が伸びる3月はお茶にとって重要な時期】

 3月のはじめに芽吹いた新芽が、空に向かってやわらかな葉を広げていました。取材にうかがった3月半ばは、まだ霜が下りる時期。新芽は、霜に当たるとすぐに弱ってしまうそうです。

「霜がつかないよう、一晩中スプリンクラーで水をまき、葉の表面が0度以下にならないようにしています」

「大石製茶」の茶畑は、20カ所ほどに点在。合計6ヘクタールの土地で、10数種類のお茶を育てています。茶畑には、温度センサーがついたファンとスプリンクラーが設置されていて、気温が下がると自動的にファンが回り、水がまかれるシステムになっています。しかし、これらの装置が機能しているかを確認するのは、やはり人の眼。そのため霜が心配な季節になると、修作さんが夜通しで20カ所の畑を回り、装置をチェックしています。

 

 宮崎県ではいま、茶木の品種開発が盛んに行われています。修作さんの畑でも、新しい品種を植える準備が進められていました。収穫時期が異なるさまざまな品種を植えることで、安定した作業が可能になります。

「お茶が自分から『肥料がほしい』なんて喋ってくれればいいんですがね。それがないから、自分の感覚だけが頼り。時期、気温、そして経験を照らし合わせながら育てています」

 努力の末にいい茶葉が収穫できたとしても、次の“蒸し”の工程で失敗すれば、すべては水の泡。短時間で一気に進める製茶の作業は、集中力と気合いで乗り切るそうです。

「製茶シーズンに入ってしまったほうが、気が楽なんです。夢中になっているから、ほかのことが目に入らない。いまから茶摘みまでの1カ月が、一年で一番、神経を使いますね。早生品種の茶摘みは4月半ばごろから。そこから20日ほどをかけて新芽を摘み、摘んだらすぐ製茶に取りかかります」

 修作さんの長い春は、まだ始まったばかりです。

 

【疲れたときは一杯のお茶で元気をチャージ】

 修作さんみずから、急須でお茶をいれてくださいました。美しい水色。口に含んで、驚きました。お茶の味をこんなに深く感じたのは、初めてです。濃いうまみと渋み。それでいて後味はすっきりと甘い。

「ポイントはしっかりと湯冷ましをすること。いい煎茶ほど、湯冷ましは大事ですよ」
 と修作さんがコツを教えてくれました。

 

「何度いれても、私にはまだこの味が出せないんです」
 とは、奥様の明奈さん。
「嫁いで、お茶のおいしさを知りました。それまでは、急須でお茶をいれたこともありませんでした」

 小学6年生の男の子と1歳の女の子を育てる明奈さん。子育てに忙しい毎日のなかで、午後からの元気はお茶で回復させているといいます。
「疲れると、お茶が飲みたくなるんですよね。だから子どもをお昼寝させたら、一人で一服。夕方からの忙しさを、この一杯で乗り切っています」

 

【幅広い世代に、お茶の魅力を伝えたい】

 お茶のおいしさを子どもたちに伝えるため、修作さんは小学校でお茶の出前授業をおこなっています。息子さんが3年生のとき、担任の先生から頼まれたことがご縁となって、いまも続けているのだとか。教室の子どもたち全員に急須でお茶をいれてもらい、その味を確かめさせているそうです。

「おいしくできると、『やったー!』と喜ぶ姿がかわいい。ていねいにお茶をいれると、瞑想にもなるそうですよ」
 これをきっかけに、家でお茶をいれる子が一人でも増えるとうれしい。修作さんと明奈さん、お二人の願いです。

 

 イベントにも積極的に参加する修作さんは、数年前から仲間と新しい試みをはじめています。それは、消費者参加型のお茶づくり。茶摘みから製造、火入れ、仕上げという一連の作業を公募で募った参加者と一緒におこないます。消費者目線の提案はどれも、お茶屋の常識を覆すものばかり。それが面白く、いい経験ができたといいます。

「『みんなの都城茶』という名前でイベントにも参加し、お茶祭りでは3位を獲得しました。いやぁ、楽しかったですよ。みんなと一緒のお茶づくりは。新しいことにも柔軟に対応していきたいと思っています」
 
 修作さんの言葉を受けて、明奈さんは、
「本当に全神経を働かせて、精魂込めてお茶づくりをする人なんです」
 と、修作さんの想いを代弁します。
 本当に仲のいいご夫婦。ステキです。

 

【小さな植物に秘められた大きな可能性を実感】

実は明奈さん、ハーブティーの勉強をしています。ティーコンシェルジュという資格を持ち、修作さんとは違ったアプローチでお茶を紹介しているのです。

 

「私が勉強するお茶の世界では、日本茶もハーブの一種と考えられています。ブレンドしだいで、美肌や風邪予防、体質改善にも効き目があるといわれているんですよ。植物のめぐみって、すごいですよね」

 修作さんの努力と明奈さんの思いやりが結実した「大石製茶」のお茶。今年の新茶が、待ち遠しい限りです。

 

〈編集部コメント〉

全神経を注いでお茶づくりに没頭する修作さんと、ご主人を見守る明奈さん。「都城には、上をめざして努力する人がいっぱいいるから、いい刺激になる」。そう語る修作さんに触発されるように、明奈さんもまた、ご自分の世界を切り開いておられました。修作さんは、息子さんの学校でPTAの仕事も引き受けているとか。つねに自分にできることを考え、ベストを尽くす。その芯がとおった生き方に、私も刺激を受けました。

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