オーガニック味噌や粉末みそがヨーロピアンを魅了!「早川しょうゆみそ株式会社」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

オーガニック味噌や粉末みそがヨーロピアンを魅了!「早川しょうゆみそ株式会社」

 明治期に産業振興が盛んに行われたこと、美しい水に恵まれた地の利があったこと、そのような背景から都城には多くの醤油味噌蔵があります。今回うかがった「早川しょうゆみそ株式会社」(以下「早川しょうゆみそ」略)もそのひとつ。なんと創業は日本政府誕生と同じ明治18年(1885)。以降136年、伝統の技を磨き続けながら美味しい醤油・味噌をつくり続けてきました。昨今では海外へも進出。六代目にあたる代表取締役社長・早川 洋さんはオーガニック麦味噌の認証を取得し、ドイツをはじめとするヨーロッパ各国に南九州の食文化として紹介。現地のオーガニックナチュラル系スーパーなどで、ここで造られた味噌が並んでいるそうです。また、無添加生味噌の粉末化にも成功。みそパウダー「umami・so」は世界的に名高い「NATIONAL GEOGRAPHIC TRAVELLER」誌でも紹介されるなど、海外でも注目を集めています。今回は早川さんの次男であり、企画戦略マネージャーの早川 薫さんと製造部長の富山和彦さんに、その飛躍のストーリーを伺ってきました。

 

蔵につく「麹菌」を
大切に育て、守り続けて。

 大豆、麹、塩。いたってシンプルな材料をじっくりと発酵させることで旨味や風味が増す味噌。その味の決め手となるのが「麹」(麹菌)です。「わたしたちはこの麹菌を『蔵つき菌』と呼んでいます。我が社の製品はうちの蔵についている菌じゃないとつくれないんです。菌は熟成させる期間や温度、湿度によって働きが変わってきますが、『蔵つき菌』は職人たちが整えた環境の中でしっかりといい働きをし、うちにしか出せない味をつくってくれるんです」と富山さん。品質を守るため、とにかく「菌」を大切にしている「早川しょうゆみそ」。食品の安全管理のための国際基準である「FSSC22000」の認証を受ける際、壁や天井の新設が必要となりましたが、その際も麹が育つ「麹室」に濡らした木の板を入れて菌をその木に移し、新設したところに菌をお引っ越しさせるほど、菌には細心の注意を払っています。「味噌や醤油をつくってくれる主役は菌。私たちはそのお手伝いをするというスタンスです。菌と人がひとつになってこそ美味しい味噌や醤油が生まれます。うちらしい製造方法で早川の味を守っていくことは私の使命だと思っています」。

 

オーガニック味噌と粉末みそで
ヨーロッパに進出!

 伝統を守り続ける一方で、新しい営業戦略も展開している「早川しょうゆみそ」。その旗手となっているのが七代目であり、企画戦略マネジャーの早川薫さんです。なんと早川さん、中学生の頃から自分のキャリアプランを立てていたそう!「130年以上続いてきた会社を継ぐからには自分の代でなくすわけにはいかないと思い、幼いながらにやるべきことをリストアップしていました。当時から、今後日本の人口が減少していくことはわかっていたので、海外展開を視野に入れ、大学時代1年間アメリカに留学しました。現地では午前中、インターンシップで新聞記者として働き、午後は大学で学ぶという日々…。かなり鍛えられましたね。英語を話すことはできても、それでは相手とコミュニケーションがとれているとは言えない。話す相手の興味をどうやって引き出せるのか、どう伝えることが大切なのか…そんなことを考える日々の中で、『ニーズマーケットイン』(顧客目線のマーケティング)という発想が植え付けられていきました」。帰国後、早川さんは早速、新たな企画をスタート。そこで製造されたのが海外向けのオーガニックの味噌でした。当時、既に醤油が世界的に知られる調味料になっていたのに対し、味噌はまだまだ認知度の低い調味料。発酵醸造の知識があり、化学的成分などについても、きちんと説明できる早川さんのプレゼンテーションはヨーロッパのシェフや食への関心が高い人々にとって興味津々!新たなうま味調味料として新鮮な感覚で受け入れられたのだとか。2017年からはドイツへの輸出がスタート。その後も続々と商談がまとまっていき、ドイツやポルトガル、セルビアなどのスーパーで「早川しょうゆみそ」製造の味噌が販売されるようになりました。

 

東日本大震災をきっかけに
独学で粉末みそを開発!

 早川さんが開発し、「NATIONAL GEOGRAPHIC TRAVELLER」をはじめ、「anan」「サライ」「ドクタークロワッサン」などの雑誌でも紹介されたみそパウダー「umami・so」。昨年秋に発表されたこの商品は都城市のふるさと納税返礼品としても人気となっています。実は、開発のきっかけとなったのは東日本大震災でした。「当時私は大学生だったのですが、炊き出しのボランティアチームの方から『豚汁がすごく喜ばれるが、味噌は重いし、大量だと濾すのも大変なので、頻繁に作ることができない』という話を聞きました。そこで、もっと軽くて使いやすい味噌ができないだろうか?と自社に提案したのですが、みんなから『味噌は粉にならない』と反対されました。粉末にするためには熱を加えることになる=味噌は熱を加えることで風味がなくなってしまうというのがその理由だったんです。また、フリーズドライも考えましたが、そのためには添加物を加えないといけないというのがわかりこれは違うなと。それでも絶対に諦めたくなくて、世の中にあるあらゆる乾物のつくり方にトライし、試行錯誤を繰り返したんです。自分の結婚式の朝も、前日に浮かんだアイデアを試してみたいと妻が着付けをしている間に会社に向かい、実験をして…、さすがに叱られました(笑)」。こうして5年もの歳月をかけ、無添加の生味噌を粉末にした「umami・so」が完成。ヨーロッパの展示会に持参したところ「チーズとの相性が抜群!」「ワインとの相性もいいね!」と絶賛されたそうです。

 

伝統技術のIT化、そして
「umami・so」で国際貢献を!

 伝統を大切に、自社の味を守り続ける富山さん、伝統を“今”という時代のニーズに合わせて進化させ、世界へ紹介する早川さん。そんなふたりがタッグを組んで、成長を続ける「早川しょうゆみそ」。その未来について伺ってみると「私自身は味噌や醤油の製造技術を職人である先輩方から“見て覚える、経験して覚える”という方法で学んできました。社内でも私がその最後のひとりだと思いますので、きちんと技術継承を行っていけたらと」と富山さん。一方、早川さんは「その技術継承のために、感覚的なものを可視化するIT化も必要だと感じています。今、富山さんと協力しながら徐々に社内のIT化を進めているところです。また、販売戦略的には粉末みその持っている可能性を広げていけたらと考えています。非常食のひとつとして、国際的な飢饉問題に何か活用できたらよいと思いますし、国境なき医師団にも提供できるようにしたいですね。日本の伝統産業で世界貢献できたらと」とのこと。今後、世界で日本の味噌が「hayakawa」という固有名詞で呼ばれる日もそう遠くないかも!都城から世界へ。「早川しょうゆみそ」の快進撃が楽しみです。

 

 

<編集部コメント>

 ドイツの料理番組では味噌を人気シェフが「umami!」と言いながら使っているほど、徐々にヨーロッパで味噌の美味しさが広がっているそうです。とにかく聞いていてワクワクすることばかりの取材でした(N)

 

こちらが日本未発売の「オーガニック味噌」。有機JASの認証も取得し、今後は国内でも販売予定

 

自社で徹底した品質管理を行い、伝統の味を守っている

 

麹菌を育てる「室」は清掃が行き届いている。薬品やブラシは使わず、熱湯の高圧洗浄で掃除するのだとか

 

早川 薫さん(左)と、お父様で社長の早川 洋さん(右)

 

樽で熟成された味噌を袋詰め。多い日は1日1200袋を製造。味噌にはアルコールが使われていないので、少し固めの質感。ちなみに製造社員の平均年齢は35歳。明日の発酵業界を担う若手が育っている

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