県随一のブランド鶏「みやざき地頭鶏」で宮崎の食文化を支える直売所「鶏愛」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

県随一のブランド鶏「みやざき地頭鶏」で宮崎の食文化を支える直売所「鶏愛」

「みやざき地頭鶏(じどっこ)」をご存知ですか? みやざき地頭鶏は、一般的な地鶏よりも厳しい基準のもとに育てられた国内最高峰のブランド鶏。はずむような食感が特長ですが、肉質はやわらかく、噛むほどに肉汁があふれだします。いまや郷土料理の代名詞ともいえる「鶏の炭火焼き」も、多くのお店でみやざき地頭鶏を使用。その味の虜になるファンも多くいます。

 みやざき地頭鶏は、古くから霧島山麓で飼われていた天然記念物「地頭鶏」に家畜用の鶏をかけ合わせて生まれた品種。この品種が確立された当時から、その飼育に携わってきたのが、「鶏愛(けいあい)」の川野郁夫さんです。現在は2代目の川野賢一さんが、飼育から販売までを一手に担い、みやざき地頭鶏の普及に努めています。

 

【みやざき地頭鶏は、霧島山麓の風土が育む】

 「鶏愛」の農場では、みやざき地頭鶏が走り回っていました。広々とした敷地に、ヒヨコから成鳥まで、およそ1万羽が飼われています。

 

 みやざき地頭鶏は、一般的なニワトリよりもひと回りは大きな体格。トサカは短く、羽毛は褐色で、キリッと精悍な顔立ちをしています。運動量が多いだけあって、見るからに身締まりがよく、高級鶏らしい風格さえただよわせています。

 「動くから、よく食べる。エサも工夫をして、腸にいい乳酸菌とミネラルが豊富な海藻を加え、鶏の健康を保っています」
 と、賢一さんが教えてくれました。しかも、ここは霧島山の懐、都城。飲み水には、長い年月をかけて山でろ過された天然水、霧島裂罅水(れっかすい)を使用しています。

 

 この環境のなか、オスは120日、メスは150日をかけて育て、出荷のときを迎えます。一般的な地鶏の飼育期間はおよそ80日というから、ここからもみやざき地頭鶏のこだわりがうかがえます。

 しかし最近は、トウモロコシなどの飼料が高騰しているとの報道を目にします。その影響は、ないのでしょうか。

「影響は大きいですよ。売上げの半分が飼料代に消えてしまう。それでも、鶏の健康と肉質を左右するエサの質は落とせない」
 と、賢一さんは言います。

 

【ブランドの確立当初から飼育をスタート】

 「鶏愛」を創業した賢一さんのお父様、郁夫さんは、もともとJAの職員でした。その当時、県をあげて開発に取り組んでいたのが、「みやざき地頭鶏」です。農家さんにすすめる前に、どんな鶏なのかまずは自分でも飼ってみようと、郁夫さんは自宅で100羽程度の飼育をはじめます。いまから20年ほど前のことです。

 一方の賢一さんは、高校で体育教員として働いた経験を持つスポーツマン。当時は、スポーツジムのインストラクターをしていました。結婚をして、二児のお父さんでもある賢一さんは、仕事で忙殺されていたそうです。そのかたわら時々、郁夫さんの養鶏を手伝っていました。

 

 定年退職後に、郁夫さんは本格的に養鶏をはじめます。みやざき地頭鶏は飼育基準が厳しいため、広い土地や大きな鶏舎が必要です。こんなときこそ家族のチカラが必要だと、お父様の夢に賢一さんが賛同。さらに介護福祉士だった弟さんも合流して、山の麓に新しい鶏舎を建造。川野家はみやざき地頭鶏の飼育に乗り出します。

「子どもがまだ小さかったから、時間に不規則な仕事よりも自営業のほうがよかった。家族と一緒に過ごす時間が長くなるのは、幸せなことですから」
 賢一さんは販路開拓のために営業を、弟さんは鶏舎での飼育を中心に担当していきます。

 

【新鮮な鶏が手に入りやすい宮崎県は、鶏の生食文化圏】

 宮崎県や鹿児島県では、古くから鶏を生で、刺身にして食べる習慣があります。そのため、当然、鶏には鮮度が求められます。もう一つ大切なのは、そのさばき方。鶏がもともと持っている細菌に感染させることなく、衛生的にさばくためには、「吊り下げ外剥ぎ解体」という方法がもっとも効果的です。この解体法は手間がかかるため、大きな処理場ではおこなわれません。

 そこで郁夫さんは、農場から処理までを一貫しておこなうことで、安心して食べられる鶏肉の提供を試みます。食品衛生検査場の指導を仰いで「吊り下げ外剥ぎ解体」を実践。農場の鶏を朝締めし、その多くを飲食店へ卸していたそうです。農場の鶏は1万羽に増え、事業は軌道に乗りはじめました。

 

【土砂崩れで鶏舎が壊滅。マイナスからの再出発】

 事業をはじめて3年が経ったころ、都城に大きな台風が襲いかかります。ひどい雨が降り、山では土砂崩れが発生。その直撃を受けたのが、川野さん一家の鶏舎だったのです。一瞬で鶏舎はつぶされ、生き残った鶏はわずか400羽。これでは、どうにもならない。

「もう終わった、と思いました。体に力が入らなかった。それでもお客様に迷惑はかけられないから、よそから地頭鶏を仕入れて、それを納めていた。何をするにも資金が必要だけど、その源を失ってしまった。苦しくて苦しくて、どうしたらいいのかわからない状態でした」

 賢一さんは当時をそう振り返ります。それでも、もう一度、挑戦してみよう。再び、家族のチカラを結集させて手に入れたのが、いまの鶏舎です。

「直売所は半年間しめました。元の状態に戻るまで1年かかり、長く赤字もつづきましたが、あのときの苦しさに比べたら、何でもない。今は、ようやく、安定してきました」
 賢一さんご一家が育てるみやざき地頭鶏。その確かな品質と信頼があってこその復活だと感じます。

 

 直売所では、賢一さんのお母様がお店を切り盛りしています。
「口コミでこの直売所を知り、遠方からもお客様がみえます。『ここの鶏以外は食べられない』というお客様もいらっしゃるんですよ」

 お正月やお盆など、家族が揃うときには「鶏愛」の鶏刺しが欠かせないというお客様も多いといいます。川野さんご一家が大切に育てた命が、お客様ご家族の大切な時間を育む。こうしたお客様との関係が、苦しいトンネルを抜けて養鶏を復活させた川野さんご一家の原動力だと、深く感じました。

 

〈編集部コメント〉

はじめて、みやざき地頭鶏のタタキをいただきました。こんなに甘みがあって、コクがあって、おいしいものとは知りませんでした。これも、朝締めの鶏だからこそ味わえるおいしさです。さらに、みやざき地頭鶏のウインナーや生ハムをいただき、感動。あっさりしているのに、味に深みがあって、いくらでも食べられます。宮崎牛だけでなく、みやざき地頭鶏が日本一と称される日も近いかも。そう予感させるおいしさでした。

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