とにかく元気!先見の明とチーム力で快進撃を続ける寝具メーカー「株式会社 菱友(りょうゆう)」
「こんにちは〜!」。寝具メーカー「株式会社菱友」(以下「菱友」略)を訪れると、スタッフ一人ひとりが元気に大きな声で取材陣を迎えてくれました。その挨拶の気持ちのいいこと!そこに現れたのは会長・柏田良丸さんと会長の娘で社長の玉木友美さん。「うちは元気だけが自慢です!」と語る会長はなんと御年80歳。会長職として社長を見守りつつも仕事への情熱は衰え知らずで、まさに“人生100年時代”という言葉を地で行く印象。エネルギッシュな姿は周囲に元気と希望を与えています。
いち早く海外の取引先を開拓。
信頼関係を築いて、時代の波に乗る!
「人は必ず眠る。布団メーカーを立ち上げよう!」と柏田会長が起業したのは昭和46年のこと。「起業してからはとにかく家族を守っていくために必死でした。いい生地と綿を仕入れるために全国各地を飛び回り、日本の繊維業が低迷期に入ると台湾で取引先を探しました。その後、台湾も厳しくなると感じて、30年ほど前からいち早く中国と取引を始めたんです。うちはすべて直接取引で商社を通していなかったので、最初はこちらの注文通りに商品が上がって来ないということも多々ありました。でも、長い付き合いの中で真面目に付き合っていれば徐々に信頼関係が生まれます。仕事も人間関係もこちらが嘘を言えば嘘が返ってくる。誠実に対応することが信頼関係の第一歩です。うちが最初に取引をはじめた中国の会社とは今も続いているんですよ」。創業当時、九州は布団産業が盛んで“新商品は九州から”といわれた時代もあったそう。しかし中国製品が輸入されるようになると徐々に下火に。そんな中「菱友」はいち早く行ってきた海外からの仕入れにより、時代の波を乗り越えてきました。
小売店、量販店、オンラインモール、
テレビショッピング、直販サイト…。
先見の明で次々と販路を開拓
生産体制を整えつつ、会長が同時に進めたのが販路の開拓でした。当初は町の小さな小売店を回って営業していましたが「これからはスーパーやホームセンターの時代だ!」と営業先を切り替え、大手量販店と取引をスタート。「お陰様で忙しい日々でしたが、徐々にインターネットが普及し始め “これからはネット販売の時代だ!”と閃き、ネットショッピングの会社に営業をかけました。その甲斐あって、日本の布団ネット販売上位のサイトにうちの商品を卸すことができました」。ネット販売での卸の売上高は大きかったものの、会長の後を継いで社長に就任した友美さんは「メーカーとして直接お客様にうちの商品を届けるために、自社直販のオンラインサイトを作りたい!」と考えるように。しかし、会長は大反対!「自社サイトを立ち上げることで、離れていくお取引先もあることはわかっていたので、もう毎日親子喧嘩ですよ(笑)。でも、私はどうしてもやりたかったんです」。社長の情熱に徐々に会長も理解を示し、3年前から自社サイトでの直販をスタートしました。「直販だとお客様の声がダイレクトに届く。これが私たちの宝物です。 “こういうのをつくってほしい!”といわれるとすぐに商品化にトライしますし、お褒めの言葉をいただくとみんなのモチベーションがぐっと上がる。本当にありがたいですね」。現在は直販のほか、ネットショッピングやテレビショッピング、通販会社など、さまざまな場所で「菱友」の布団が販売されています。
大切な家族であるペットにもいい布団を。
社長考案のペット用布団が大ヒット!
「菱友」がふるさと納税返礼品として提供している「ねこのおふとん はいるにゃん」は社長が愛猫のために開発したもの。「寒い時期に猫を残して仕事に行く際、せめて温かい布団でもかけてあげられたら…と思ったのがきっかけです。発売してみると同じように感じていた飼い主さんが多かったようで“人間用の布団をつくっている会社がつくっているペット用の布団なら安心”と喜んでいただいています」。筒形で猫が自分で入っていける「はいるにゃん」をはじめ「菱友」ではデザインもサイズも異なるバラエティ豊かなペット用布団を販売。自宅で洗濯可能で清潔に使えるのもヒットの理由となっています。「お客様の声、スタッフの声、いろんなアイデアをすぐに形にできるのがうちの強み。人間用の布団もペット用もフルオーダーでつくれます」と会長。このスピード感ある商品開発も「菱友」の強さです。
親子で仕事を共にする喜びを噛み締める日々。
これからも寝具で人々を幸せにしたい
一代で社を築いた会長、それをさらに発展させる社長。父娘の間には強い絆が感じられます。「こうして娘と仕事ができるというのは最高ですね。娘は小学校三年生の時から剣道をしていて、インターハイで優勝、国体でも準優勝(ともに団体)しています。ちょっとやそっとじゃへこたれない性格で、私なんかかないません(笑)。もちろん娘同様、従業員のことも大切に思っています」と会長。毎朝5時に出社し、会社を開け、誰もいない工場に向かって「おはようございます。社員のみなさん、ありがとう。今日も1日怪我のないように頑張ってください!」と大きな声を出し、工場を一巡するのが会長のルーティーン。そんな愛情深い会長を社員皆が慕っています。
「私もこうして父と仕事ができることを幸せに感じています。身近に師がいるのはありがたいですね。私がつくったオンラインサイトの名前は〈ひなたのふとん〉。 “日本のひなた”と呼ばれる宮崎から暖かい布団を届けたい!そんな思いから命名しました。私、寝るのが大好きなんですよ。起きた時に疲れがとれていると“やっぱりうちの布団っていいな〜”と実感します。これからもお客様に喜んでいただける商品をつくり続けていきたいですね」と友美社長。今後も「菱友」の布団が日本各地に幸せな快眠を届けてくれそうです。
<編集部コメント>
工場内を見学させていただく際も、スタッフ一人ひとりに声をかける会長の姿が印象的でした。社内への目配りを欠かさず、外へは常にビジネスのアンテナを広げるその姿、見習いたいものです(N)
いい仕入れ先を求めて国内外を飛び回っていた若かりし頃の会長
本社近くには直営店も。ここでは通常より安価で寝具を購入できる
スタッフの中には定年を過ぎたベテランも。熟練の技であっという間に布団が縫われていく
オートメーション化が進みつつも、確かな人の目と手で品質が守られている