都城から日本一の豚を!幻と呼ばれる「赤豚」の養豚を通じ、循環型再生可能エネルギーの開発に取り組む「ニュースターコミュニケーションズ株式会社」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

都城から日本一の豚を!幻と呼ばれる「赤豚」の養豚を通じ、循環型再生可能エネルギーの開発に取り組む「ニュースターコミュニケーションズ株式会社」

 畜産王国・都城市には白豚でも黒豚でもない稀少な「赤豚」の養豚に取り組んでいる企業があります。「ニュースターコミュニケーションズ株式会社(NSC)」(以下:NSC略)は再生可能エネルギーの開発を行っていましたが、ある日突然、取引先からの依頼で手がけたこともなかった養豚事業をスタートすることに!全く異業種からの参入でしたが、3年間で5ヵ所の養豚場を建設するほどのスピード感で事業化を進め、現在は豚舎で使っているオリジナルバイオベッド(発酵床)を使ったバイオガス発電にも取り組んでいます。 

 「赤豚」に馴染みがない方も多いでしょうが、「赤豚」は純粋な血統同士で育てた「純粋デュロック豚」。イベリコ豚に続くブランドポークとして注目を集めています。特に純血種は国内外でも珍しく「幻の赤豚」と呼ばれるほど。そんな「赤豚」がなぜ都城で育てられるようになったのでしょう?そこには希少なこの豚を守り、育てたい!という人々のストーリーがありました。 

 

定年後に起業
思いもよらなかった「赤豚」との出会い

 代表取締役の吉原和雄さんは「BTVケーブルテレビ」(都城にあるケーブルテレビ局)を立ち上げたキャリアの持ち主。60歳で定年後、未来を見据え、太陽光発電や再生可能エネルギーの開発に取り組む「ニュースターコミュニケーションズ」を起業しました。「事業が軌道に乗った頃、取引先の九電工から突然 “豚を育ててくれないか?” と連絡があったんです。えーっ?豚ですか?と驚きましたよ(笑)。話を聞いてみると、九電工が再生可能エネルギーの開発を通じて、千葉で赤豚を育てている養豚場と付き合いがあったそうなのですが、当時、豚コレラが流行し始めたため、千葉から長崎・西海市に豚を避難させたとのこと。しかし、西海での肥育がうまくいかず豚たちが弱っているから、なんとか養豚が盛んな都城で豚を引き取ってくれないかと。正直、まさか自分がと大いに戸惑いましたが、この難局を乗り切るべく立ち上がらねば!と思った次第でした。」

 

危機に瀕した「赤豚」を
ネットワークや産学連携で救う

 まず吉原さんが相談したのが長年の友人である「はざま牧場」(都城のブランド豚「きなこ豚」で知られる企業)の創業者である間(はざま)和輝さん。「彼が “空いている養豚場があるから連れてきていいよ!” と言ってくれたので、すぐに赤豚を西海から連れてきたんです。同時に宮崎大学に協力を仰いで豚たちの遺伝子検査を行い、健康な豚が生まれるよう環境を整えました。しかし、そうしている間にも豚はどんどん大きくなり、借りた豚舎も手狭に。そこで自社で豚舎を構えるしかないと覚悟を決めました。」

 ちょうどその頃、吉原さんの次男・広徳さんが都城にUターンすることに。「次男と農業生産法人を立ち上げて本格的に養豚に取り組んでいこうという話になり、2017年に〈霧島オリーブ合同会社〉を設立しました。」

 養豚の先輩である友人や宮崎大学の力添えもあり、本格的な養豚業をスタートした「ニュースターコミュニケーションズ」。豚舎には宮崎大学と連携して開発したオリジナルバイオベッドが敷かれ、クリーンな環境の中で「赤豚」たちが健康に育っています。「うちの豚舎に来た方はみなさん口を揃えて “臭いがしない!” と驚かれます。」また、豚舎で使用したバイオベッドを燃料として再使用するバイオガス発電の開発も展開予定です。 

 

旨味をつくるオリーブと海藻
夢は都城から日本一美味しい豚肉を
全国に広めること

 「ニュースターコミュニケーションズ」が手がける「霧島オリーブ赤豚」はその名の通り、オリーブ粕や海藻を食べて育っています。「赤豚は脂の甘味と旨味が強いんです。融点が人の体温より低いので、口の中でとろけるような旨味とコクが感じられます。この素晴らしい豚を大切に世に送り出していきたい。」吉原さんは自ら営業に出向き、その美味しさを各地で伝えてきました。その甲斐あって「霧島オリーブ赤豚」は現在、福岡のホテル「グランド・ハイアット福岡」などでも採用されています。また、2022年12月には福岡市にアンテナショップと、レストランを備えた精肉販売店「吉原商店」もオープン。リピーターも増え、人気を博しています。 

 「日本一美味しい豚肉を都城から全国に届けることが私の夢です!豚に食べさせるオリーブも自社で賄うべく、霧島に自社オリーブ園もつくりました。肥育からお客様の口に入るところまで一貫して行い、養豚を通じた再生可能エネルギーの開発にも取り組む循環型農業を目指しています。」

 

愛してやまない都城で
未来につなげる産業を残したい

 60歳で起業し、新たな挑戦を続ける吉原さんを支えているのが、奥様であり専務の美智子さん(写真下_右)です。「夫が定年を迎えた時、“これからの人生、どうやって生きたいですか?” と聞いたんです。すると迷うことなく “地域社会に貢献したい” という答えが返ってきました。再生可能エネルギー事業も養豚事業も、地域の未来のため、子どもたちのためにと取り組む夫を見て、私も一緒に頑張りたいと思いました。」と美智子さん。「未来に向け地域の産業を残せる土壌をつくることが、人生の最後の仕事になるんじゃないかと感じています。そもそも私は都城をこよなく愛しています。都城はとにかく “人” がいい。情熱があって愛情深い人が多いんです。また、信念を持って仕事を全うする強い意思や挑戦気質が人々の間に脈々と受け継がれていると思います。」と吉原さん。都城を愛し、地域のため、未来のためにと人生を賭して事業に挑み続ける吉原さん夫妻。「霧島オリーブ赤豚」がその美味しさで日本中の人を唸らせる日も遠くないかもしれません。 

 

 

<編集部コメント>

取材を通じて初めて知った「赤豚」でしたが、その美味しさは格別!豚肉特有のクセがなく肉質が柔らか。とにかく旨みが濃厚でした。生ハムなどの加工品も絶品なのでぜひお試しを!(N)

 

豚肉や加工品は冷凍状態で販売されている。塊肉からスライス、ミンチ、加工品まで幅広いラインナップ。

 

 

店内奥には都城産の名産品を取り扱う広々としたスペースも。

 

美味しさで知られる「赤豚」だが、母豚から生まれる子豚の数が少ないため取り組む農家が少ない。他の事業が順調で養豚を再生可能エネルギーの開発につなげられる「NSC」だからこそ「赤豚」の肥育が叶えられているのだ。

 

店頭にはオリーブの古木が。樹齢はなんと200年以上なのだとか。

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