1杯のコーヒーがもたらす幸せを伝えたい。こだわりのコーヒーとホットサンドで都城の朝活シーンを変えた「WITTY COFFEE」
朝7時、冬場ならまだ夜明け前の仄暗い光と澄んだ冷たい空気の中「WITTY COFFEE(ウイッティコーヒー)」は開店します。店の中でお客様を笑顔で迎えるのがオーナーの今別府晶子さん。「コンビニエンスストアでコーヒーが買える時代、朝からカフェに人が来るの?」と思ってしまいますが、まるでオープン時間を待っていたかのように訪れる人が途切れません。
みんながお目当てにするのが、多種多彩な熱々のホットサンドとこだわりのコーヒー、そして美味しいスイーツ。テイクアウトしてさっと車に乗り込む人もいれば、朝のコーヒーをゆったりと楽しむ人の姿も。「WITTY COFFEE」は都城の素敵な朝活スポットなっています。
「働きたいお店がなくなった」と思えるほど
飲食店を渡り歩き、満を持して自店を開業!
昔から飲食店が大好きで、寿司店、居酒屋、ピッツェリア、大手コーヒーチェーンなど、あらゆるジャンルの飲食店で働いてきた今別府さん。
今別府さん:このお店いいな!って感じると、すぐに“働いてみたい”と思ってしまって(笑)。接客や料理の味だけじゃなくて、どんな仕込みをしているの?とか、食材をどう管理しているの?とか、どんどん好奇心が湧いてくるんです。でも、そんな生活を続けてきたらとうとう働きたいと思う飲食店さんがなくなってしまって…。
それまで“将来自分で店を構えることを前提に”というより、純粋に“その店が好きだから”“その店のことが知りたいから”との思いで働いてきた今別府さんでしたが、働きたい店がなくなってしまったことで「これからどうしよう?」と迷子のような気持ちに。
今別府さん:そんな時、夫がふと“自分でやってみたら?”って言ったんです。正直、それまで開業するという発想はなかったのですが、その一言で“そうだ!自分でやってみればいいんだ!”と決意しました。
こうして今別府さんのお店づくりが始まりました。
コロナ禍にオープンしたにも関わらず
開業日からお客様に恵まれて
お店を持つと決めたものの、どの業態にするか白紙状態だった今別府さん。
今別府さん:自分でやるなら居酒屋がいいなと思ったのですが、当時はコロナ禍。お酒を提供する店の営業が制限されていたので、先行きに不安を感じて断念しました。そんな時“そういえば都城にホットサンドを提供する専門店ってないな!”と思いつき、今の業態を選びました。
店づくりを依頼したのはセンスの良さで知られる都城市内の工務店。元学習塾だった空間をフルリノベーションし、コンクリート打ちっぱなしの洗練されたカフェに仕上げました。
今別府さん:長く地元の飲食業界にいて都城で飲食店を営む厳しさを実感していただけに、オープン当初はお客様が来てくださるか本当に不安でした。開業の告知はインスタグラムだけで、当時はフォロワーも300人程度(現在は8500人以上!)。でも、おかげさまでオープン日からお客様がたくさん来てくださったんです。うちのお客様は学生さんからご高齢の方まで幅広く、みなさんが思い思いに過ごしていらっしゃいます。そんな姿を見るのと嬉しくなるし、お客様には心から感謝しています。
理想の味を求め、妥協しない姿勢から
生まれたメニューが人を惹きつける
「WITTY COFFEE」一番の売りであるホットサンドは平日13種類、日曜は20種類が用意されています。いずれも今別府さんが何度も試作を重ねて開発したものばかり。カリッと熱々のパンの間にボリュームたっぷりの具がサンドされ大満足できます。また、徹底的にこだわったのがコーヒー。豆は信頼できるロースターから仕入れていますが、その豆をどう挽き、どう淹れるかも味を左右するとあって1ヶ月ほどエスプレッソマシンと格闘し、現在の味を完成させました。
今別府さん:専業主婦をしていた頃、家族が起きてくる前に、ゆっくりと朝のコーヒーを飲むのが私にとって至福の時間でした。コーヒーが大好きで、一杯のコーヒーが人を幸せにできると実感していただけに思い入れも強くて、理想の味を求めてトライ&エラーを繰り返し、やっと納得できる味に辿りつくことができました。しっかりとしたエスプレッソ感がありつつ、酸味は柔らかでマイルドなのがうちのコーヒーの特長です。
そんなこだわりの味は都城市民の間で大人気に。朝は仕事前にゆっくりと朝食を楽しむ人や目覚めの一杯をテイクアウトする人で賑わい、その後もママ友グループやカップル、学生から高齢者、外国人など1日中客足が途絶えません。特に休日の朝は家族の朝食をテイクアウトしに訪れる人も多々。
今別府さん:土日の朝は “ホットサンド4個にコーヒー4杯”といったオーダーが多いんですよ。家族みんなで休日の朝ごはんにうちのホットサンドを食べていただけている姿を想像するだけで、幸せな気持ちになります。
お客様に喜んでいただきたい。
そのシンプルな思いがすべて。
都城市ふるさと納税特設サイトの返礼品として提供されている「オーツミルク使用の焼きドーナツ」や「しっとりクッキー」はお店で人気のスイーツです。これらはカウンターに並べられ、コーヒーをオーダーした人が続々と購入していきます。
今別府さん:コーヒーに合うお菓子を!と思ったので、我流で試作を重ねて開発しました。みなさんによく買っていただけるようになったので、昨年9月にはカフェの2階にキッチンをつくり、ふるさと納税にも参加させていただくことにしました。
朝4時に起きて7時にお店を開け、閉店の18時頃まで店に立つ今別府さん。多忙を極める日々ですが「もっともっと勉強して、お客様が幸せを感じられるモノをつくり続けたい」と語ります。
今別府さん:私は都城の出身ですし、この街の人たちが本当に大好きなんです。これからも今の仕事を天職だと思って、お客様に喜んでいただけるよう努めていきたいですね。
そんな今別府さんの思いが通じているのか、ここで過ごす人たちは皆、リラックスしている様子が伝わってきます。そんな柔らかな空気感もこの店の魅力となっているようです。
<編集部コメント>
今別府さんとスタッフのふたりで始めたカフェも、今や総勢8名に。みんな「ここで働きたい」と自ら手を挙げた人たちばかりでお店が好きだという共通のマインドがあるからなのか、スタッフ同士の仲の良さも伝わってきます。そんな明るい空気感もこの店の魅力となっていました(N)
絵を描いたり、デザインすることも大好きな今別府さんが手がけるTシャツなども販売されている
コーヒー類だけではなく、季節のフルーツを使ったスムージーなどのドリンクも人気
店名は、訪れる人が居心地よく過ごせる「witty(気の利いた)」な場所を作りたいという思いで付けられた