都城産の粘土を生かした瓦・レンガ・タイルの製造を通して、SDGsに貢献する「創宮株式会社」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

都城産の粘土を生かした瓦・レンガ・タイルの製造を通して、SDGsに貢献する「創宮株式会社」

 都城市の北東に位置する山之口町は粘土の地層に恵まれ、昔から瓦づくりが盛んでした。そんな地の利を生かし、現在も瓦やレンガ、タイルをつくり続けているのが「創宮(そうぐう)株式会社(以下:創宮略)」です。近年は製造だけではなく、屋根工事やリフォームといった施工も行い、公共事業などの大型案件の実績も多々。また、新燃岳(しんもえだけ)噴火の際の灰やダムの排泥などの再利用といった、SDGs(Sustainable Development Goalsの略:「持続可能な開発目標」の意味)への取り組みも積極的に行っています。「瓦もレンガも長く使うものなので、耐久性と安全性には徹底してこだわっています」と製造部部長の宮元一徳さん。今回は取締役経理部長の菓子野ノリ子さんとともにお話を伺いました。 

 

創業から半世紀
培った高い技術力と経験で
顧客のリクエストに応える

 「この町では昔から粘土が採れたこともあり、小さな瓦工場が100軒以上あったそうです。昭和40年代に入った頃、当時の町長が岐阜から企業を誘致し、昭和45年に創業したのが弊社の前身〈宮崎高砂工業〉でした。」と菓子野さん(写真右)。時代は高度成長期。大きな工場で瓦を大量生産していた〈宮崎高砂工業〉でしたが時代とともに住宅事情が変化し、瓦の需要は減少。平成に入った頃からレンガの製造もスタートしたほか、製造から施工までワンストップで行うようになりました。「メーカーが施工まで行うので、お客様の声をすぐにモノづくりに反映できるんです。微妙な色や風合いなど、細かなリクエストにも対応しています。」と宮元さん。時代の波をキャッチし、柔軟に対応することで「創宮」は成長を遂げてきました。

 

1300年以上前に建てられた
歴史的建造物を復元

 「創宮」の高い技術力が認められて実現したのが、佐賀県にある「肥前国庁跡歴史公園」の南門の復元。律令期に肥前国の中心地だった役所の遺跡が公園として整備されることになり、そのシンボルとして南門が復元されました。「弊社の職人たちが力を尽くして完成させた門です。文化庁から与えられたヒントは当時使われていた小さな瓦の欠片ひとつ。なんとか当時の瓦を再現したいと職人たちは京都や奈良の寺院を巡って知見も深め、何度も試行錯誤を繰り返しました。色も白・黒・赤の3種類を焼き分けています。大変な仕事でしたが、昔の製法や技術を知る貴重な機会になったと思います。(菓子野さん)」「残念ながら私はその仕事に携わっていないのですが、諸先輩方から当時の話を伺うと、ご苦労の分、達成感も大きかったようで、みなさん口を揃えて “楽しかった!” とおっしゃいます。(宮元さん)」「肥前国庁跡歴史公園 南門」の復元は「創宮」にとっても社史に刻まれるような大きな仕事となり、その経験を経たことで技術力はさらに磨かれていきました。 

 

「SDGs」という言葉もなかった
30年前から国産循環型レンガを製造
新燃岳噴火による灰も商品化

 高温焼成で瓦やレンガを製造する「創宮」では、昔からリサイクル資源を使ったモノづくりを行ってきました。ダイオキシン・ゼロに無害化したゴミ焼却灰を粘土と合わせてつくった「Ecoレンガ」は、2001年グッドデザイン賞を受賞しています。 

 2011年の新燃岳噴火の際には大量発生した灰を活用し、新たな商品開発に挑みました。「高速道路に積もった灰を引き取ってくれないかと依頼がきたんです。それまで噴火灰は使ったことがなかったのですが、やってみると強度が高い商品ができて驚きました。(宮元さん)」その時誕生したのが「創宮」のヒット商品〈新燃瓦〉〈新燃レンガ〉です。また、これらの商品の製造工程でできた規格外の商品を粒状にして販売したところ、「庭の敷砂利に使いたい!」と大好評に。この〈新燃クラッシャーブリック〉は現在、宮崎県の「みやざきリサイクル製品」にも認証されています。今でこそSDGsが叫ばれていますが、「創宮」は昔からリサイクルを大切にした商品開発にチャレンジし続けてきたのです。

 

これからも地元資源にこだわり
新素材の開発に挑んでいきたい

 「創宮」のレンガはホームセンターなどで購入できるほか、工場敷地内の「レンガ市場」でアウトレット品も販売されています。また、事前に申し込んでおけば工場見学も可能(https://sougoo.co.jp/publics/index/82/)。自分だけのオリジナルレンガづくりや、ガーデニングのヒントになるレンガ敷き体験、レンガを使ったかまど積み体験なども楽しめます。「地元の資源があっての弊社なので、地域のみなさんとのつながりを大切にしていきたい。」と菓子野さん。2年前には「宮崎高砂工業」から「創宮」に社名変更しましたが、社名には〈これからも地元・“宮” 崎で、さまざまなモノ “創” りを行っていきたい〉という思いが込められています。「よく輸入モノの粘土は使わないのかと言われますが、地元産の素材にこだわっていきたい。これからも都城で新素材の開発に挑戦していきます。(宮元さん)」 

 ふるさと納税返礼品となっている「ニコニコレンガ」は当初、取引先へのプレゼントとして製造してものでしたが、販売してみたところその可愛さが評判に。「オブジェとして玄関先に置いたり、レンガを組む際のワンポイントとして使う人が多いようです。都城市を車で走っているとよく見かけて嬉しくなります。(宮元さん)」今日も笑顔のレンガたちが、玄関先で住人を迎えていることでしょう。 

 

 

<編集部コメント>

排泥や火山灰、焼却灰など廃棄されるものを活用したモノづくりに挑戦し続ける「創宮」。配合の割合や焼成温度、酸化のさせ方など、モノづくりは日々試行錯誤の連続なのだとか。ここで培われた技術が世界から注目される!という日も来るかもしれません。(N)

 

左から製造部の宮田祐輔さん、総務部の坂元真維さん、今回お話を伺った製造部の宮元一徳さん。みなさんいい笑顔!

 

こちらが「レンガ市場」。庭先にBBQ窯やピザ窯をつくってみたくなる!

 

工場には大きな窯がずらりと並び、日々、瓦やレンガが焼き上げられている。

 

工場見学では、原料となる粘土やレンガの形になった粘土に実際に触れて感触の違いを楽しんだり、製造工程を見て学ぶことができる。また、彫レンガ体験では粘土状のレンガに自分で好きな文字や絵などを彫り、自分だけのオリジナルレンガを完成できる体験も行っている。

 

「創宮」の敷地の横では、2026年に開催予定の国体に向け、陸上競技場が建設中。

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