選ばれた2%の豚。親子4人で稀少な「くるみとん」を育て、ブランド化にチャレンジする「なかつファーム」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

選ばれた2%の豚。親子4人で稀少な「くるみとん」を育て、ブランド化にチャレンジする「なかつファーム」

 世界的に知られるブランド豚「イベリコ豚」はどんぐりを食べて育ちますが、都城にはくるみを食べて育つ(なんと贅沢!)「くるみとん」がいます。手がけているのは「なかつファーム」の中津さんご一家。肥育している豚のうち、「くるみとん」になれるのはなんと2%程度の頭数と出荷量は少ないのですが、その美味しさでリピーターが増加中!現在は直売店とオンラインのみでの販売ですが、今年から都城市ふるさと納税の返礼品としての提供もスタートしました。果たして「くるみとん」とはどんな豚なのか?話を伺うべく、直営店と農場を訪ねました。 

 

「家族が離れないために」と養豚を始めた父
そんな思いを受け継ぎ、家族一丸で養豚に励む

 1972年から養豚業を営んできた「なかつファーム」。現在は2代目の中津幸蔵さんが農場を守っています。「父が若い頃は米と養蚕の農家でした。しかし、一年の中で手が空く期間に一家の主人は出稼ぎで地元を離れなくてはならなかった。そこで父が “家族が一緒にいられるように” と養豚を始めたそうです。当時は地域の人たちと協力しあって、お互いの豚舎を建てていったそうですよ。」家族が共に過ごせるために父が始めた養豚。代替わりし、幸蔵さんは子どもたちが自立した後、夫婦で豚を育てていましたが、5年前に長男の雄成さんが、2年前に長女のひかりさんが家業を継ぐべく都城に帰郷。父が願った原点に立ち返ったように家族がひとつになって養豚に励んでいます。 

 

過酷な生存競争を勝ち抜いた
エリート豚だけが「くるみとん」に

 幸蔵さんが「くるみとん」を育てることになったのは知人から聞いた話がきっかけでした。「黒豚を育てている知人から “豚はくるみをよく食べる” と聞いたんです。そこで農場でくるみを育てて与えてみたら、びっくりするくらい喜んで!一度味を覚えたら、くるみのカラカラという音がするだけで “食べたい!” と反応するんですよ。」縄文時代から日本で食べられてきたといわれる和ぐるみ(=オニグルミとも呼ばれる)は、ミネラル豊富で、オメガ3脂肪酸やα-リノレン酸も多く含まれる注目の抗酸化食材。人間も摂りたい健康食材を豚に与えているとはなんと贅沢なのでしょう!

 しかし、ここで育つすべての豚がくるみを食べられるわけではありません。幸蔵さんが長年の経験で培った目で毛艶や体型(脂のノリ)などを見極めた豚だけが「くるみとん」として育てられるのです。「豚は一度に10〜16頭の子どもを産みますが、生まれて数日で自分が飲むおっぱいの場所が決まります。母豚のおっぱいは上の方から出がよく、免疫力も高い。その場所を確保でき、かつ大きく元気に育ったエリート中のエリート的な2〜3頭だけが「くるみとん」になれるんです。」生まれた時から「くるみとん」になれる豚が決まってくると聞くと、どれだけこの豚に稀少価値があるのかということが伝わってきます。 

 

力強い助っ人・長女も加わり
「くるみ豚」のブランド化に挑む

 長女のひかりさんは「くるみとん」の直売をはじめるタイミングで都城にUターンしました。「昔から両親は豚を大切に育てていました。5年前に兄が都城に戻り、日々の仕事を手伝ってもらえるようになったことで、父は昔からやりたかった “直売” にチャレンジしたいと考えたらしく、私に一緒にやらないかと声をかけてくれたんです。私もうちの豚が大好きですし、これからも両親が育てた美味しい豚肉を食べ続けていきたい!と思ったので都城に帰る決意をしました。」

 ひかりさんに声をかける前、幸蔵さんはスーパーなどに「うちの豚を扱ってほしい!」と営業に行ったこともあったそう。しかし、畜産王国・都城には多くのブランド豚があり、すでに売り場が埋まっているという状況。「うちのように出荷量が少ない豚はなかなか扱ってもらえなかった。こうなったら自分で店をつくり、オンライン展開もできないかと考え、娘に声をかけたんです。」と幸蔵さん。帰郷後、ひかりさんはオンライン販売をスタートし、インスタグラム(@nakatsu_farm)でも農場の魅力も配信するなど「くるみとん」のブランディングを推進。幸蔵さんの期待に応え、大活躍しています。 

 

店には自動販売機も設置
知名度を上げ、生肉を提供したいという夢も!

 直売をスタート以来「試しに食べてみたら本当に美味しくて!」と地元はもちろん全国各地に「くるみとん」のファンが増えています。「お客様から “美味しかった” の声を直接いただくと、頑張ってよかった!と嬉しくて…。家族全員モチベーションが上がります。うちでは自家栽培したくるみを豚に与えていますが、くるみ自体も足りないので収穫を増やすべく、木を育てているところです。「くるみとん」を安定供給できる体制をつくり、知名度も上げていきたいですね。」と幸蔵さん。

 カットの工房を備えた直営店(写真下)ではお肉の自動販売機も設置。ここに行けば24時間購入可能です。「冷凍でも十分に美味しいのですが、いつかお客様に生肉を提供できるようになりたい。もっと営業も頑張ります!」とひかりさんも熱く語ります。ちなみにお母様・和代さんにオススメの食べ方を伺うと「塩胡椒などで下味をつけず、にんにくと一緒にソテーして、食べる直前にちょっとだけ塩をかけるんです。そうすると口の中で脂の旨みと甘みが広がり、塩が風味を引き立てますよ。」とのこと。聞いているだけで美味しそう!家族で育てる「くるみとん」が食通の間で話題をさらう日も遠くないかもしれません。 

 

 

<編集部コメント>

インタビュー中も和やかな雰囲気で、家族仲の良さが伝わってくる取材でした。また、お店や農場の随所に手描きのサインや看板(写真下)を発見!聞いてみると幸蔵さん作。そのセンスの良さに取材スタッフ一同、脱帽でした。(N)

 

 

東京電力に就職後、帰郷して家業を継いだ長男の雄成さん。お父さん譲りの豚の目利きとして成長している。

 

清潔な豚舎で愛情たっぷりに育つ豚たち。「なかつファーム」では豚の出産の際、分娩促進剤などを使わず自然分娩させている。難産の際には幸蔵さんや雄成さんが夜も豚舎に詰め、豚の健康を守っている。

 

パームツリーが植えられた豚舎。カラフルなペインティングも目を惹き、海外のような雰囲気が漂う。

 

都城市ふるさと納税返礼品のひとつとなっている「くるみとん」バラ焼肉&バラしゃぶしゃぶ800gセット。締まりのいい赤身と優しい味わいの脂を存分に味わえる。

他のレポートを見る