都城産の熱帯果樹栽培に情熱を注ぐ「上田熱帯果樹研究所」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

都城産の熱帯果樹栽培に情熱を注ぐ「上田熱帯果樹研究所」

 パッションフルーツにバナナ、キウイ、カカオ、コーヒー、アボカド、ライチ、そして日本では聞いたことのない名前の果樹…、「上田熱帯果樹研究所」はあらゆる熱帯果樹を栽培しています。現在9棟あるビニールハウスを行き来しつつ、汗を流しているのが上田純市さん。鹿児島大学農学部と大学院でパッションフルーツの研究をした後、食品会社や宮崎県庁で働き、「美味しい熱帯果樹を栽培して、広めたい」と都城に移住しました。同時に福岡で暮らしていたご両親も息子の夢を応援すべく、都城へお引っ越し。家族3人で力を合わせ、美味しいフルーツづくりに挑んでいます。

 

植物を育てることが大好きだった少年は
運命に導かれるかのようにこの道へ

 「息子は小さい頃から植物の苗をお小遣いで買って育てていました。小学生の時、祖父母と行った温泉旅行でねだったのも“レモンの木”。小3の時には蘭も〈買っていい?〉と言われましたね。本当に昔から珍しい植物を育てるのが好きな子でした」と母・徳子さん。そんな純市さんが進学先に選んだのは鹿児島大学農学部。「本当は高校から農業高校に行きたかったんですが、両親から“高校は普通科に行って、大学で選択肢を広げるのもいいのでは?”と言われ、それもありだなと。当時から形も面白く、食べても美味しい熱帯果樹に興味があったので、大学では果樹について学びたいと思い、鹿児島大学農学部を選びました」と純市さん。在学中はパッションフルーツの研究に励み、卒業後いったんは食品会社に就職。しかし、やはり熱帯果樹への情熱が捨てきれず、今度はその市場を見てみたいと宮崎県庁の果樹部へ転職。「ありがたいことに県庁の方からは〈君みたいな人を待っていたんだよ!〉と言っていただいたのですが、一年が過ぎた頃、やっぱり自分で栽培したいという思いが募り、独立を決意しました」。

 

農業に反対していた父親が
竹藪を開墾し、ビニールハウスを手づくり

 知人の紹介で都城に土地を見つけ、小さなハウスで果樹栽培をスタートした純市さん。その後、市内に広い土地が見つかり、そのタイミングでご両親も都城に移住しました。「夫は息子の開業に反対していたし、家の中に土のついた植物があることすら好きじゃなかったんですよ。もちろん、私も夫も農業経験はゼロ。でも、息子には選んだ道を突き進んでほしいと夫婦で話し合って、応援することにしたんです」と徳子さん。

 都城に移住してから父・龍一さんは大活躍!純市さんが買ったのは竹藪の向こうに林があるという土地だったため、機械に強かった龍一さんがチェーンソーで竹を刈って更地にし、奥に生えていた杉の木も倒してブドウ棚や作業小屋にDIY。さらには自らビニールハウスまで建ててしまうという八面六臂の活躍で、農園をつくりあげていきました。「まあ、息子が可愛いですから(笑)。熊本、東京、福岡と仕事で転々としていたから、引っ越すことに抵抗はなかったんです。どこに住んでも嫌じゃない。住めば都!」と龍一さん。「両親が来てくれたことは本当にありがたかったです。父はいろんなアイデアを持っていて、ビニールハウスに補強を入れてくれるなど、なるほど!と気付かされることが多いです」と純市さん。ご両親には感謝の思いが尽きないそうです。

 

日本で食べるのとは全く違う
さまざまな品種のバナナも栽培

 純市さんがまず取り組んだのがパッションフルーツの栽培。「全部自己資金で始めたので、できるだけ早く回収するためにも、1年で実をつけるパッションフルーツから始めました」。学生時代に研究していただけあり、その栽培は順調。今も「上田果樹研究所」の主力商品となっています。また、純市さんが力を入れているのがバナナです。「海外で食べたバナナは日本のものとはまったく違う風味で、本当に美味しかったんです。蜂蜜みたいな甘味や酸味もあったり。バナナって品種が多く、形は似ていても、味が全く違ったりするんです」。バナナ専用のハウスに入ると、そこはまさに南国。大きなバナナの木(1年で2メートルほど成長するそう!)が並び、たわわに実をつけています。「県庁時代からいつか国産の美味しいバナナをつくりたいと思っていました。輸入されたものとは違う本来の美味しさを伝えたいんです」。まだ、生産量は多くないそうですが、これから上田さんのつくったバナナが国内で流通する日がくるかもしれません。

 

市内の菓子店などに納入。
熱帯フルーツが
都城の新名物になる日も近い!?

 ここでつくられたフルーツは地元の菓子店などに出荷され、フルーツを使ったオリジナル商品となって販売されています。「最初は浅井饅頭店さんがパパイヤのマカロン“和カロン”をつくってくれました。スターフルーツのデニッシュ(写真)はベーカリーのキトリーさんのもの。都城のみなさんがうちのフルーツを使ってくださるので助かっています。緊急事態宣言中は取引先も休業してしまい、パッションフルーツが余ってしまったので、自分たちでジャムをつくったのですが、これがなかなか好評なんですよ」。ちなみにジャムやフルーツはここでも販売されており、インスタなどで情報を得たお客様が直接買いにくるとか。「都城の寒暖差がフルーツ栽培に合っているのか、糖度が高いものができるんですよ。冬以外は年中何かしら実っているので、気軽に訪ねて来ていただきたいですね。ここでしか味わえない珍しい果樹に出会えると思います。これからも世界の美味しいフルーツをたくさん栽培し、提供していきたいですね」。フルーツ好きならぜひ訪れたい「上田熱帯果樹研究所」。熱帯果樹が都城の新しい名産品となる日も近そうです。

 

 

<編集部コメント>

 「熱帯果樹は見た目も面白いし、果実も美味しいから、育てるのも食べるのも楽しい」と語る上田さん。その純粋な“好き”という情熱が強く伝わってきました。それにしても反対していたのに、ハウスまで建ててしまうお父様、素晴らしい!家族の仲の良さが伝わる取材でした(N)

 

パッションフルーツのジャム。甘酸っぱくてまさにパッションフルーツそのもの!アイスクリームにかけても美味

 

「熱帯果樹を突き詰めていきたい!という思いから社名に“研究所”と入れました」と上田さん

 

定期的に南九州大学環境園芸学部の学生たちが実習に訪れている

 

都城市ふるさと納税の返礼品にはパッションフルーツが提供されている。7月頃から収穫が始まる

 

南米原産の「ピタンガ」など珍しい果実も栽培している。「ネットでは独特な味がして美味しくないと言われていますが、品種によります。これは甘くて美味しいんですよ」と純市さん

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