アイデアとチャレンジ精神で郷土の味を全国へ。「ばあちゃん本舗」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

アイデアとチャレンジ精神で郷土の味を全国へ。「ばあちゃん本舗」

「ばあちゃん本舗」という社名に、大きく深いぬくもりを感じます。

「幼い日に食べた“ばあちゃんの味”を再現したい」
 社長の小園秀和(こぞのひでかず)さんがめざしたのは、ふるさとに伝わる昔ながらの知恵と味を未来に残すことでした。「ばあちゃん本舗」では、“味の温故知新”をテーマに、宮崎県産の食肉を中心とした加工食品を企画、販売しています。

 提案しているのは“なつかしの味”だけではありません。郷土料理にアイデアをプラスして“新しいお土産品”を世に送り出しているのです。この着目点が、小園流。小園さんにお話を聞いていると、つねに時代の先を見据えて新しい企画を考えるアイデアマンという横顔が見えてきました。

 
【東京での修行が故郷への想いを深めるきっかけに】

 小園さんは、もともと料理人として腕をふるっていました。東京のホテルでフランス料理のシェフとして修業していた頃、まず驚いたのは、使用する食材の多彩さ。初めて見る食材ばかりだったといいます。しかもフランス人は、これらをいろいろな料理法で食べる。それが、宮崎から上京したばかりの小園さんには大きな刺激になったそうです。

「当時、宮崎が全国に誇る食材といえばピーマンくらい。とにかく、県自体の知名度が低かった。そこで、まかない料理にチキン南蛮をつくって、宮崎のよさをアピールしようと思ったんです」

 ところが、チキン南蛮になじみがない東京の料理人たちから酷評されてしまいます。

「宮崎県のすべてを否定されたような気分になって、つらかったですね」

 なんとしても宮崎のよさを認めてもらいたい。そこで小園さんは先輩に、都城の本格焼酎を贈りました。焼酎は安さが売りだと思われていた時代の東京で、本格焼酎を飲んだ先輩の評価は、「また、あの焼酎をくれないか」。そのひと言に、先輩の感想が集約されていました。

 一矢報いた気持ちにはなったものの、故郷を想う気持ちが強かった小園さん。宮崎ではお父様が自動販売機を取り扱う会社を立ち上げていたため、結婚を機に帰郷。会社を継ぎ、経営に乗り出します。

 

【ばあちゃんの「ずりみそ」が、すべての原点】

 若き経営者となった小園さんは、消防団や商工会などにも積極的に参加して、地域に密着した活動を進めます。いろいろな行事に顔を出すうちに知り合いが次々に増え、いつしか商売を抜きに語り合える仲間へと発展。気がつけば、多岐にわたる業界に友人ができていました。

「ずっと、『食をやりたい』という気持ちがありました。さまざまな方面にパイプができた今なら、できる。そう感じて『ばあちゃん本舗』をつくり、ばあちゃんの味の再現に挑んだのです」

 再現したかったのは、「鶏砂肝の味噌漬け」という田舎料理。幼いころに食べたおばあちゃんお手製のその味は、強烈な感動とともにいまも記憶に残っているそうです。つくろうとしている商品はふるさとの味。しかしその目は、全国に向けられていました。

 

 とはいえレシピもなく、まして肉ではなく鶏の内蔵を使った料理。完成まで試行錯誤の連続でした。試作品をつくっては試食を繰り返し、さまざまな業界の仲間たちからアドバイスをもらって、ようやくできあがったのが「ずりみそ」です。この「ずりみそ」と、同じく試作を重ねて完成させた「豚タンの味噌づけ燻製」の2つを引っさげて、地域の代表として上京。日本最大級の国際見本市「東京ギフトショー」に出展します。2007年2月のことです。

 この時期、新しく就任した宮崎県知事が全国で話題になっていました。その影響もあってか、小園さんが出したブースは大盛況。その結果、「味と匠のふるさとギフトコンテスト」で「豚タンの味噌づけ燻製」が準グランプリを獲得しました。その後、この商品は東国原元知事によって「ブーブータン」と名づけられ、『ばあちゃん本舗』の名物になります。

 

 この勢いのまま、小園さんはさまざまな商品を企画。そのうちに、地域の生産者をはじめ食品業界の方々からさまざまな相談を受けるようになります。

 

【宮崎発のおいしさをパックして、全国へ】

「時代は6次産業化へとシフトしている。宮崎の知名度も上がり、機が熟したいま、6次産業化を進めるならゼロから商品開発をはじめるより、すでにパイプを持つ人に頼んだほうが早いわけです。県産品を使って品質のよさをアピールしたくても、売れなければ伝えようがない。私が“食の営業マン”としてパイプ役になれることがあるのなら、引き受けたいと思っています」

 さまざまな人と人とのご縁が重なって、いまや「ばあちゃん本舗」が扱う商品は60アイテム。都城をはじめとする道の駅や宮崎空港でも販売されています。

 

 なかでも、斬新なアイデアで話題になったのが、「チキン南蛮スティック」です。2014年、農林水産省がおこなった「第2回地場もん国民大賞」にもノミネートされ、一躍、都城のご当地グルメとなりました。

 おなじみのチキン南蛮を春巻きの皮で包んだ逸品。さっと揚げれば、スナック感覚で手軽に食べられます。道の駅都城に併設されたレストラン「盆地のキッチン・グランマ」では、揚げたてをいただくことができます。

 

【春風にのせて活気を運ぶイベントもリード】

 小園さんは商工会の仲間たちとともに「さくらフェスタ高城」というイベントを企画。桜の名所として有名な都城の観音池公園で、歌手を招いてのライブを毎春、開催しています。ご当地では大人気の高城プロレスも登場し、まちを代表するイベントへと成長しています。

「宮崎出身で、東京でがんばっている若手ミュージシャンを中心に呼んでいます。私たち商売人として、できる限りの応援をしたい」

 若い日を東京で過ごした小園さんらしい心遣いに、兄貴と慕う若手も多いと推察しました。ローカルの強みを生かした柔軟な発想で、宮崎を盛り上げるキーパーソンの動きに、これからも目が離せません。

 

〈編集部コメント〉

小園さんは「ずりみそ」を “肉のおつけもの”と呼んでいます。砂肝にていねいな下処理を施し、味噌につけ込めば、保存も効いて味もいい。先人の知恵が結集した郷土の味です。焼酎のつまみに、いただきました。内臓なのでクセがあるかと思っていましたが、まったくクセがなく、歯応えがいい。ふんわりと香るみそが、懐かしさを誘います。この味が自分の原点だと語る小園さん。「ずりみそ」のやさしい風味が、小園さんのお人柄と重なるような気がしました。

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