ひと口食べると誰もが笑顔に!幸せ膨らむ都城の郷土菓子“ふくれ菓子”の専門店「株式会社まるはちふくれ菓子店」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

ひと口食べると誰もが笑顔に!幸せ膨らむ都城の郷土菓子“ふくれ菓子”の専門店「株式会社まるはちふくれ菓子店」

 “ふくれ菓子(がし)”をご存知でしょうか?「蒸しパン?」私もそう思っていました。しかし、一度食べてみるとその違いは歴然。手にするとずっしりと重いのに、食べてみると口溶けが滑らかで身体に優しい甘みがふわっと広がります。その美味しさは、取材チームの中にいる都城市出身者が「子どもの頃、ふくれ菓子を丸ごと1個食べるのが夢だった」と語るほど!そんな都城の菓子文化を伝えているのが「株式会社まるはちふくれ菓子店」(以下:まるはちふくれ菓子店)です。創業は1990年。現在は三代目の木下(きした)真一さん・泰子(ひろこ)さん夫妻が伝統の味を守り続けています。

 

家庭でつくるおやつ。
その美味しさが評判となり
日本唯一の専門店として開業

ふくれ菓子は南九州に伝わる釜蒸し菓子。昔はよく家庭でもつくられていました。

真一さん:うちの祖母がふくれ菓子をつくるのが上手で、友人宅に行く時におみやげとして持参していたそうです。それがとても美味しいと評判になり、“ぜひ売ってほしい”と言われるようになったので、思い切って店を開くことにしたのが1990年のこと。33年前、祖母が56歳の時でした。

お金をいただいて人様の口に入るものをつくるとなると責任重大!と、祖母・米丸幸子さんは何度も試行錯誤を重ねて一番シンプルなプレーン味をつくりあげ、その1種だけでお店を開業しました。店名は真一さんの祖父、米丸祐八(ゆうはち)さんの名からも一字とって「まるはち」に。

真一さん:祖父のことが大好きだったんでしょうね(笑)。祖母はもともと非常に味覚が敏感で、ほんのわずかな味の違いにも気づく人。その味覚があったからこそ、この美味しさをつくりだせたのだと思います。現在89歳ですが、今もアドバイザー的に関わってもらっています。

 

製法は一子相伝。
日々、出来たてだけを店頭に

真一さんは高校卒業後、和歌山の大学へ進学して泰子さん(下写真左)と出会い東京で結婚。長女・燈(あかり)ちゃんが生まれた直後、震災に見舞われて都城に一時避難しました。

真一さん:娘が生後3ヶ月ほどの時だったので両親も心配し、“帰ってきたら?”と言われました。私たちも子育て環境を考えると都城がいいと考えていましたし、ふくれ菓子の伸びしろはまだまだある!と可能性を感じていたのでUターンを決意しました。営業職でしたので売り込みには多少自信があったのですが、やはり実際に自分がつくれないと営業に行っても言葉に重みがでないと感じ、祖母に一からつくり方を教えてもらうことにしました。

実は、ふくれ菓子店のレシピは一子相伝。真一さんだけが製法を受け継いでいます。

真一さん:ふくれ菓子には一般的に重曹を使いますが、重曹が多いと苦味がでる。祖母のレシピは重曹が少なめなのですが、それでもふっくらと膨らませることができるというところに秘密があるんです。

毎日、材料の配合や製造をひとりで行う真一さん。

真一さん:ふくれ菓子はその日につくったものしか店頭に並べないため、病気にもなれませんが、おかげさまでこの10年一度も休んだことはありません。健康で毎日ふくれ菓子をつくれること。1日1日を無事に過ごせることが一番の目標になっています。

 

ごまかしが効かない素朴で繊細なお菓子
「昔と変わらぬ味」と言われるのが最高の賛辞

素材、水分量、混ぜ具合、火加減…すべてに真一さんが手をかけ、一瞬たりとも気をぬかずに蒸し上げるふくれ菓子。目配り、気配りが欠かせないことから大量生産はできません。

真一さん:小麦粉は挽いてから一定期間寝かせた専用のものを使用しています。その日の温度や湿度によって水分量が異なるのでその見極めが肝心です。ふくれ菓子は素材がいたってシンプルなので、素材の状態ひとつで仕上がりが大きく違ってくる、素朴なのに繊細で奥が深いお菓子です。実は、後継者になってから“もっと美味しくならないか?”と自分なりに製法のアレンジに挑戦したこともありましたが、結局は祖母の味が一番美味しかった。それが理解できてからは、伝統の味をしっかり守りながら、地に足がついた商売に徹しようと決めました。

ボイラーを導入して大量生産しないかという提案を受けることもあるそうですが、真一さんはひと釜ひと釜と向き合って質の高いモノづくりがしたいと断っています。

真一さん:都城の郷土菓子であるふくれ菓子の味を守り続けたいんです。〈ここのはいつ食べても美味しい〉〈代替わりしても味が変わらないね!〉と言われるのが一番嬉しいですね。

幼い頃からふくれ菓子に慣れ親しんだ地元客からの「美味しい!」の一言が真一さんと泰子さんを支えています。

 

お菓子を通じた社会貢献
第一弾は「レンジでふくれるふくれ菓子」

都城愛が深いおふたりはよく「どうしたらもっと社会に貢献できるか」ということを話し合っているそうです。

泰子さん:今までは自分たちのことで精一杯だったのですが、都城には“街の未来のために”と活動している方々がたくさんいらっしゃる。私たちもこのお菓子を通じて何かできないかと考えるようになりました。

その第一弾として誕生したのが「レンジでふくれるふくれ菓子」。袋の中に入ったミックス粉に牛乳を加えて混ぜ、レンジでチンするだけで熱々のふくれ菓子が出来上がります。火を使わず、小さな子どもでも簡単につくれるとあって、この商品はコロナ禍に大ヒット!今もリピーターが多い人気商品です。

真一さん:できるだけ店の味に近くなるように試行錯誤を重ねて完成しました。こうして都城のふくれ菓子文化が全国に伝わっていくのは嬉しいですね!

お店で販売されているふくれ菓子の賞味期限は短いですが、こちらは10ヶ月。親子で一緒につくるのも楽しそうです。

モノが溢れ各地で郷土菓子の文化が薄れゆく中、全国的な知名度もアップし、各地にリピーターを増やしている「まるはちふくれ菓子店」。オンラインストアではできたてをすぐに冷凍したふくれ菓子も数量限定で販売しています。オンライン限定のフレーバーもあるので、ぜひチェックしてみてください。

 

 

 

<編集部コメント>

「まるはちふくれ菓子店」の公式サイトにあった「おなかふくらむ。かいわふくらむ。しあわせふくらむ」の文字。その言葉通り、なんだか心まで温かくなるようなふくれ菓子。シンプルで滋味深いその味わいは「あ〜、今、こういうお菓子が食べたかったんだ」と思えるはずです。あー、また食べたくなってきました!(N)

 

形はサンドイッチのような三角。「購入いただいた当日も美味しいのですが、翌日のふくれ菓子も味が馴染んで深い味わいになります」と真一さん。牛乳との相性は最高です。

 

最高の笑顔でふくれ菓子を手にしたモデルは木下さん夫妻の長女・燈ちゃん。

 

都城が誇る郷土菓子の名店。毎日つくれる量が限られているため、午前中に売り切れになってしまうことも。

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