50代から夢を実現!手づくりのドッグフードや多彩な取り組みで人と犬、社会の幸せを結ぶ「ドッグカフェ チョコラ」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

50代から夢を実現!手づくりのドッグフードや多彩な取り組みで人と犬、社会の幸せを結ぶ「ドッグカフェ チョコラ」

飼い主が愛犬と一緒に食事をしたり、犬同士を遊ばせることができる「ドッグカフェ チョコラ」(以下:チョコラ)。この店を営んでいるのが江口智美さんです。江口さんは50代に入った頃に「このままやりたいことをやらずに仕事人生を終わらせていいのか?」と一念発起!第二の人生の幕を開けるべく、開業に踏み切りました。

江口さん:右も左もわからないままのスタートでしたが、お店を営んでいくことで学ぶことがたくさんありますし、日々、犬たちの素晴らしいパワーに癒されています。

また、高齢者福祉施設や児童養護施設での勤務経験から月に2回、誰もが気軽に訪れることができる「ちいき食堂」も開催。地域の中で孤立者を出さないための活動も行っています。そんな彼女の生き方にはこれからセカンドライフを考える人へのヒントが詰まっています。

 

両親を亡くしたことをきっかけに
考え始めたセカンドライフ

長く高齢者介護の仕事に携わっていた江口さんが開業を考え始めたのは50歳を過ぎた頃。

江口さん:子どもの頃からずっと犬がそばにいる生活で、いつか犬に関わる仕事をしたいという気持ちはありました。でも、当時の仕事も大好きだったので、具体的に動いたりはしていなかったんです。しかし、40代後半から立て続けに両親を亡くしたことで “やりたいと思っていることをやらずに人生を終えたくない!”という気持ちが募ってきました。ふたりとも70歳手前で逝ってしまい、自分もいつどうなるかわからない。それなら悔いのない人生を送りたいと。勤めを続けていたら収入も安定し、定年後の暮らしも描きやすかったと思いますが、後悔したくないという気持ちが勝りました。

人生の折り返し地点を感じる50代で改めて「やりたいことを仕事に!」という道を選んだ江口さん。ドッグカフェをつくる!と目標を決め、物件探しをスタート。元飲食店だった場所と出会い、2020年に開業しました。

 

人も安心して口にでき
美味しいと感じられる
手づくりフードが好評

カフェで好評なのが、江口さんが手づくりするワンちゃん用のご飯です。都城産の食材がふんだんに使われた身体に優しいものばかり。訪れる犬たちの完食率はほぼ100%です。

江口さん:ワンちゃん用ご飯はうちの犬たちと一緒に開発したようなものなんですよ。今2匹飼っているんですが、1匹目は涙やけ(※)がひどく、2匹目は市販のフードに口をつけなくなって。色々調べてみると市販のフードに含まれる添加物や保存料がその原因かもしれないとわかったので、手づくりご飯に変えたところ徐々に症状が良くなっていきました。

調味料を一切使わず食材の組み合わせや調理法を変えて旨みをだし、試行錯誤を重ねて完成した犬用のご飯は、人が食べても美味しいと思える品質。鶏肉アレルギーの犬のために、魚や豚肉、馬肉、牛肉を使ったメニューも用意しています。

江口さん:特別なことは何もしていないのですが、みなさん“ここのご飯はよく食べてくれる”と喜んでいただいています。同じ材料を使ってつくっても、火入れの順番を変えるだけで味や香りが変わってくるんです。ワンちゃんたちはその違いがすぐにわかるみたい。

手づくりフードはオンラインでも販売されており、都城市のふるさと納税返礼品でも人気となっています。
※犬の目から涙が多く出たことによって、目のまわりの毛が赤茶色に変色している状態のこと

 

 

人の心を癒す不思議な犬のチカラ

江口さんが犬の持つ癒しのチカラを目の当たりにしたのは、勤めていた高齢者福祉施設に愛犬を連れていった時のことでした。

江口さん:朝、ワンちゃんが入居者さんを起こしにいくと、私が行く時より機嫌よく起きてくださるし、気分の浮き沈みがある方も犬と触れ合うことで心が安定するんです。わが家の2匹目の子はとにかく元気いっぱいで落ち着きがなかったんですが、車椅子にのっていらっしゃる入居者さんに抱っこされると、じーっとしているんです。この人には迷惑をかけてはいけないとか、この人はハンディキャップがあるとか、犬には感じ取るチカラもあるのかなと不思議でした。

また、お店を始めて江口さんがその能力の素晴らしさを感じたのが“保護犬”でした。

江口さん:保護犬は人への警戒心が強く、最初は誰も寄せ付けない子が多いんですが、飼い主さんの愛情を受けることでどんどん変わっていきます。ある日、ワンちゃん同士でトラブルになりそうな場面があったのですが、そんな時さっと犬たちの間に入ってその場をおさめようとしてくれたのは保護犬でした。きっと施設の中でいろんな犬たちと暮らして、コミュニケーションの取り方を学んだ経験があるからなのかもしれませんね。今後、保護施設の支援もできたらと考えています。将来的に犬がどんどん福祉の場で活躍できる社会になっていったらいいですね。

 

人にも、動物にも優しい居場所づくりで
社会的孤立を防ぎたい

「チョコラ」では月に2回、安価で夕食を楽しみながら誰もが垣根を超えてコミュニケーションがとれる「ちいき食堂」を開催しています。

江口さん:この日はボランティアのみなさんにも手伝ってもらっています。障害者、子ども、高齢者といった方だけを対象としているのではなく、この食堂には誰が来てもいいんです。一人で悩む方がほんのひと時でも笑顔になれる時間が持てるような場所があればと。ボランティアのメンバーも介護士、看護師、福祉のプロが集まっています。この活動はこれからも続けていきたいですし、犬たちも一役買ってもらえたらと思っています。今後は障害者の就労移行支援にも取り組んでいきたいと今動いているところです。

これまで培った知識や経験を生かし「チョコラ」という場を活用して社会貢献活動に取り組んでいこうとしている江口さん。人と人、人と犬が交わることで心が癒され、ふと笑顔になれる。「チョコラ」にはそんな温かな空気が流れています。

 

 

<編集部コメント>

誰もがこれからの人生を考え始める50代。手探りでも、自己実現のために勇気ある一歩を踏み出した江口さんの話が胸に響きました。それまで培った経験や知識を社会に還元するセカンドライフ、本当に素敵です。それぞれができる範囲でチカラを合わせて誰もが笑顔になれる社会をつくっていくことの大切さを学ばせてもらった取材でした。(N)

 

店内にはハンドメイドの犬グッズも販売されている。ウエアはオーダーメイドも可能。また、着なくなったドッグウエアのリサイクルも行い、収益金を寄附している。

 

店内奥には“人見知り・犬見知り”のワンちゃんのための個室も完備。店名の「チョコラ」は江口さんが飼っていたミニチュアダックスフントの名前。江口さんが一番つらい時に、そばにいてくれて支えてくれた犬だったそう。

 

 

江口さんと妹の増山恵さん。カフェの看板メニュー「牛すじ丼」は恵さんが考案したメニュー。

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