日本の固有種・杉を世界へ。高い技術で木加工品を「株式会社 サンセラクリプト」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

日本の固有種・杉を世界へ。高い技術で木加工品を「株式会社 サンセラクリプト」

 「日本の山林」と言われて思い出すのは杉林の風景ではないでしょうか。林野庁のデータによると、杉は日本の人工林面積の約4割を占めるほど、各地で栽培されているのだとか。特に宮崎県は杉の生産量日本一で、都城市でも林業や木材加工業が盛んです。今回ご紹介する「株式会社 サンセラクリプト」(以下:サンセラクリプト)もそんな企業のひとつ。学校で使われる木製パーテーションをメインに製造する関連会社「株式会社 サンセラ」(以下:サンセラ)のBtoC部門を担当し、杉を加工した家具やバッグ、お弁当箱におひつ、名刺入れに時計など、あらゆる杉製品の企画・製造・販売を手がけています。

 

素晴らしい杉の需要を高め
世界に発信したい!

現在、サンセラクリプト代表取締役の黒木章郎(ふみろう)さんは、幼い頃から杉の苗の製造・販売をしていたご両親を手伝っていました。 

黒木さん:杉は日本の固有種なんですよ。品種に程度の差はありますが、柔らかく木目もまっすぐで加工しやすいので、昔から建築資材や家具などさまざまな用途に使われてきました。私は都城の「宮崎県木材利用技術センター」で、東大の名誉教授から杉の性質や加工技術を学びましたが、知れば知るほど杉は本当に素晴らしい木だと実感します。日本が誇る杉の需要を高め、価値を上げていくことが私のミッションだと考えています。

長年勤めた銀行を定年退職後、縁あって兄弟でサンセラの経営者に。サンセラのもつ高い技術力で、あらゆる杉加工品の製造を行ってきました。

黒木さん:サンセラの社員は指物師や建具師などの職人がほとんどです。みんなとにかくモノづくりが好きで「こういうものができないか?」と相談を受けると、なんとか形にしたい!と取り組むんです。

職人堅気な社風が漂うサンセラは、県内外から多くの受注を受け、順調に成長を続けてきました。

 

別会社を設立と同時にコロナ禍へ
イベントアイテムの売り上げが落ちるも
“おうち需要”に救われる

BtoB から BtoC まで、幅広いオファーを受けるようになったサンセラで、営業を担当していたのが黒木さんでした。徐々にオリジナルアイテムが増えていったこともあり、黒木さんは商品の企画や管理、営業を専業化するべく、2020年に別会社「サンセラクリプト」を設立します。

黒木さん:たくさん商品ができたから売る人がいないと、と思って。サンセラは兄が経営者となって製造に専念してもらい、私が別会社をつくって営業を担当することにしました。

しかし、設立からすぐにコロナ禍に突入!サンセラクリプトは宮崎で行われるイベントの記念品やノベルティを多く手掛けていたため、突然のパンデミックは大きな痛手となりました。

黒木さん:次から次へとイベントが中止になって困り果てましたが、都城市のふるさと納税返礼品事業者として参加していたことに助けられました。

返礼品として提供されている都城杉のお弁当箱やおひつ、ロックグラスなどは、サンセラクリプトのロングセラーアイテムとなっています。

 

顧客の要望に応じて
アイデアを形にできることが最大の強み

サンセラクリプトの製品の中でも一番人気となっているのがお弁当箱です。

黒木さん:うちのお弁当箱は曲げわっぱではなく、木のブロックをくり抜いてつくっているので壊れにくい。どの製品もひとつひとつ職人が手がけ、仕上げ磨きや検品も丁寧に行っています。

最近、定番の長方形タイプに加え、新商品として登場したのが正方形のお弁当箱。

黒木さん:宮崎にあるペンションの経営者の方から「お客様のピクニックバスケットに入れるサンドイッチ用お弁当箱をつくってほしい」というオファーがあったんです。正方形ならサンドイッチがキレイに収まるんじゃないかとつくってみたところ、お客様にも喜んでいただけました。お客様の要望に応じたオーダーメイドが叶うことがうちの一番の強みなんです。

正方形のお弁当箱は徐々に人気となり、都城市ふるさと納税の返礼品としても提供されています。

 

SDGsやウィズコロナ時代に即した
新しいモノづくりで世界へ!

黒木さんの襟元で目を引くのが、SDGsで掲げられている17のゴールを配色した杉製のバッジです。

黒木さん:私は幼い頃から杉の苗を育てて販売する両親の手伝いをしていましたが、今思えばそれはSDGsが掲げる17の目標の中にある「つくる責任 つかう責任」「陸の豊かさも守ろう」にあたるものだと思います。このバッジが杉でつくられているというのは、世界に向けたひとつのメッセージになるのではないかと思います。

SDGsのバッジのほか、サンセラクリプトではプラスティックストロー廃止の流れを受け、杉のストローも開発。今後、販売を検討しています。

黒木さん:今はオンラインで世界中の人に、商品やその商品に込めた想いを発信できる時代。これからもうちの製品を通じて、宮崎・都城の木製品の素晴らしさを伝えていきたいですね。先日はイギリスから「豆腐をつくる道具はないか?」と問い合わせを受けました。機会があればぜひつくってみたいですね。

都城から世界へ杉製品が飛び立つ、そんな日が来るかもしれません。

 

 

<編集部コメント>

いくつになっても仕事への情熱や地元に貢献したいという思いを持ち続けるパワフルな黒木さん。ぜひ見習いたいものです。(N)

 

杉のストロー。ほんのりとキャラメルのような香りがする。

 

黒木さんはフロント部分や天井に杉を貼った車も制作。

 

ふるさと納税返礼品の発送ではかんな屑がクッション材に使われている。

 

杉を使ったソーラースピーカーは有名ホテルでも採用されている。

 

都城にある「株式会社 サンセラ」。「サンセラ」とは「サンセラピー」の略。太陽が与えてくれる恵みや癒しに感謝する気持ちが込められている。ちなみに「株式会社 サンセラクリプト」の「クリプト」は杉の学名である「クリプトメリアジャポニカ」から採用。

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