農業をスマートに!目指すは総合“農”社「ベジエイト」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

農業をスマートに!目指すは総合“農”社「ベジエイト」

 全国的に耕作放棄地などが問題になる中、自社だけで100ha以上の畑作地を運営し(他に契約農家もあり)、創立8年にして売上高800%増(設立初年度比較)という右肩上がりの成長を続けている農業生産法人「ベジエイト」。その舵をとるのが専務の重冨裕貴(ゆうき)さんです。農地の保守保全をかなえつつ、企業としても成功させている重冨さんに、快進撃の秘密、今後の展望などをうかがいました。

 

ピンチをチャンスに感じ
都城で起業した父と農業をスタート

 大学時代、東京の満員電車で疲れた顔の人々を目の当たりにし「将来、自分はここでサラリーマンになれないかもしれない…」と感じた重冨さん。将来は経営者になる!との思いから、卒業後は法曹界に進むべく、資格取得を目指して弁護士事務所で働くことに。しかし、徐々に仕事が忙しくなると勉強する時間が取れず、人生に迷い始めたのだとか。「座学と実務…ふたつを両立させる難しさに直面し、改めて人生を見つめ直していたちょうどその頃、長年JAで働き、農業の高齢化や耕作放棄地をどうにかしたいと思っていた父が早期退職して起業することになったんです。当時はちょうどTPP問題が騒がれていた頃で、ネガティブなニュースも多かったのですが、なぜか自分にはその状況がチャンスに思えたんです。農業は大きな変化を迎えようとしている!そんな時にこそビジネスチャンスがあるんじゃないか、と。そこで父と一緒にこの道に進むことを決意しました」。

 

農地保全と利益、どちらも追求

 帰京後は焼酎の原料となる芋をつくっていたお父様を手伝いはじめた重冨さん。それまで農業に携わったことはなかったため、当初は“郷に入っては郷に従う”の精神で、一から学んでいたそう。しかし、現場を知るほどにさまざまな疑問を感じるように。「父をはじめ生産者は年配者がほとんどでしたし、せっかく大事に育てた芋も、原料に使われ、形がなくなってしまうのだからとなんとなく扱いが荒い。また、芋の値段を自分たちで決められない仕組みになっていることにも違和感がありました。もともと父が営利目的でつくった法人ではないとはいえ、この状況だと、今後も農業人口は増えず、耕作放棄地問題も解決しないと思ったんです。農地保全も大事だけど、きちんと利益も出して、業界の魅力そのものを底上げできるようになれば、きっと若い人も興味を持ってくれるのではないかと。これは仕組みを変えていく必要があると考えました」。そこでまず手掛けたのは“当初つくっていた13品目の野菜を、自分たちの強みを出せる4品目に減らし、効率的な生産計画を立てること”、“求人サイトなどを使って、全国から人材を確保し、生産人口の若返りを図ること”でした。

 

生産の効率化と働きやすい環境づくりで
成長を続ける

 「ベジエイト」で生産しているのはさつまいも・ごぼう・大根・ズッキーニの4品目。都城の火山灰地に適した根菜がメインで、品目を絞ることで安定した生産量を確保しています。「高品質な野菜を安定供給できる仕組みができたことで、量販店や商社などとの取引が可能になりました。海外との取引もスタートしていてタイ、香港、シンガポールなどに卸しています。大事に育てた野菜を世界で食べてもらえるよう、営業活動をしていくのが経営者としての自分の仕事だと考えています」。また、人材に関しても国内外から幅広く募集。「農業経験がなくても問題ありません。うちは異業種からの転職者も多いんですよ。外国人研修生も受け入れています」。きちんと長期休暇を取れるようにしたり、パート従業員は働ける時間の希望を叶えられるようにフレックス制を導入するなど、働きやすい環境を整えることで徐々に人が集まるように。また、2年前に大きな集出荷施設をつくったことがきっかけとなり、地元農家から「うちの土地も使ってほしい」「うちの野菜も扱ってほしい」という依頼も増加。1年で10haというペースで耕地も増えていき、「ベジエイト」は成長し続けてきました。

 

農業に関することすべてを手がけられる
総合“農”社を目指して

 重冨さんの目標は「農業を子や孫に選んでもらえるような魅力的な産業にする」こと。「うちの社が目指しているのは、農業に関わることならすべてを手掛けられる総合“農”社。わかりやすいところでは飲食や資材、ほかにデザイン、アパレルなどの可能性もある。農業発信のあらゆることを手掛けていきたいですね。次の展開としては工場のような感覚で作物をつくれる“次世代型ハウス”を考えています。また、農業のための人材派遣業にも興味があります。日本の農業は世界的に見ても本当に素晴らしい。都城は気候もよく1年中畑作ができ、アジアにも近い。この恵まれた環境を生かして、もっともっと可能性を広げていきたいですね」と、挑戦したいことが尽きない様子の重冨さん。ちなみに企業名の「ベジエイト」とは「ベジタブル」と「クリエイト」を合わせたもの。企業理念である「無限の価値を創造する make∞value」に則り、成長を続ける「ベジエイト」が農業の未来を大きくクリエイトする日も遠くないかもしれません。

 

 

<編集部コメント>

視野が広く、大きなビジョンを持つ重冨さん。若く情熱的な経営者のもとに人が集まってくるというのも納得でした。農業の未来は明るい!と思わせてくれる「ベジエイト」に今後も期待です!(N)

 


スーパーやディスカウントショップで人気の「焼き芋」。焼き芋にぴったりの品種「紅はるか」は、実は都城で開発された品種。「ベジエイト」でも生産している

 


集出荷施設だけで入りきれないさつまいもは別の倉庫に保管され、通年出荷している。さつまいもはアジア諸国でも人気があるのだとか

 


畑だけで250箇所を所有。冬の時期は大根を生産。年間生産量は1000トン以上!

 


オリジナルの段ボール。要望に応じて、取引先オリジナルのパッケージをつくり、納品してくれる

 


検品や箱詰めは人の手と目で。確かな品質のものだけを集荷している

他のレポートを見る