その目利き力は全国屈指!オリジナル焼酎も開発する「カコイ酒店」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

その目利き力は全国屈指!オリジナル焼酎も開発する「カコイ酒店」

 大人のためのライフスタイル誌で焼酎のナビゲーターを務めるなど、全国的に焼酎の目利きとして知られている「カコイ酒店」の店主・栫井昭一(かこいしょういち)さん。多くの蔵元との信頼関係も厚く、特約店としてレアな銘柄の焼酎や日本酒を数多く扱っているほか、ここでしか買えないオリジナル焼酎なども取り揃えています。

 しかし、実は栫井さん、もともとは石油タンカーの乗組員として世界の海を渡る仕事をしていて、お酒の世界に入る予定はまったくなかったのだとか!そんな栫井さんにこれまでの歩みや目指すこれからについて伺ってみました。

 

船乗りから商店店主へ。
突然訪れた転機

 「海のない都城で育ったからでしょうか、海に憧れを抱いて、小学校高学年の時から船乗りになりたい!と思っていました」。その夢を実現し、石油タンカーの乗務員として働いていた栫井さん。

 しかし、転機は突然訪れます。実家が営む商店が今後のためにと酒販免許を獲得することになった頃、後継者だったお兄様が交通事故で急逝。栫井さんが家業を継ぐことになったのです。「まさに青天の霹靂でした。突如、店を継ぐことになったのですが、近所に酒屋が2軒あり、それぞれにお客様がついていたので、個人のお客さんを獲得していくのは難しい状況で…。そこで牟田町(都城市の繁華街)のお店に営業をかけたのですが、当時は売掛で取引をしている酒屋さんがほとんど。しかし、そのやり方だと売掛金の回収が大変になることもあるので、うちは現金払いでの取引をお願いしたんです。もちろん嫌がられるお店も多かったのですが、先に酒代を払うことで“余計な在庫を抱えずに済む”と理解してくださるお店の方もいて、徐々に取引先が増えていきました」。

 そうしてお酒の商売がうまくいきはじめ、商店から酒屋へと業態変更。順風満帆に思えた頃にやってきたのが、酒のディスカウント酒屋の台頭でした。

 

酒のディスカウント店の
台頭を機に取り組んだ、
自分たちにしかできないこと

 「当時、鹿児島に酒のディスカウント店ができ、そのうち都城にもやってくることは目に見えていました。そこで、そんな大型店が扱えないこだわりの日本酒や焼酎を取り扱える店にしようと思ったのです」。思い立った栫井さんは全国の蔵元を訪ね歩き、取引のお願いをするように。中には、ひとつの銘柄を取り扱うのに10年以上通った酒蔵もあったそうです。

 そのひとつがレア清酒ブームの先駆けとなった「越乃寒梅」で知られる石本酒造。電話をしてもアポイントが取れなかったため、栫井さんは何通も手紙を書いて情熱を伝え、やっと会いに行けることに。そんな栫井さんの誠実な想いが伝わり、特約店としての取引が始まりました。「当時の石本酒造は私にとって雲の上の存在。現地を訪れた際は身震いしましたよ」。

 同時に南九州の焼酎蔵も積極的に開拓。「地元では25度の焼酎はあまり好まれなかったのですが、これはいい!と思って、取引をお願いしたのが佐藤酒造の「佐藤」。その後に焼酎ブームが訪れ、「佐藤」はあっという間にプレミア焼酎と呼ばれるようになったんです。名前が知られていなかった小さな蔵の素晴らしい焼酎が、多くの人々に認められていくのは自分のことのように嬉しかったですね」。地道に蔵元を訪ね、その目利き力で美味しい酒を取り揃えるようになった栫井さん。徐々に「カコイ酒店」はレアで美味しい酒を取り揃える店として知られるようになりました。

 

約200年前の江戸米を使った
オリジナル焼酎「覇道」

 「多くの蔵元とのお付き合いの中で“この焼酎の生産量、増やしてほしいな〜”と思うこともありました。そのために人手がいると聞くと、焼酎造りを毎年手伝いに行くようになったんです」。売る側から徐々に製造にも携わり、蔵元とプライベートブランド(PB)焼酎も企画するようになった栫井さん。ある日、宮崎県延岡市で約200年前の江戸米(写真下)が発見され、その米が復活したニュースを目にします。「その米を使った麹で芋焼酎を造ったらどんなものができるんだろう。やってみたい!」。栫井さんは早速その農家を訪れて米を仕入れ、信頼を寄せていた都城市の「大浦酒造」に焼酎の製造を依頼。2016年にオリジナル焼酎「覇道」が完成しました。少量生産ながら、そのまろやかな味わいに魅了され、毎年楽しみにする焼酎ファンも多い名品となっています。「うちだけのPB焼酎となると蔵元さんは他の酒屋さんに販売ができないので、依頼する方も商品が残らないように販売する責任があります。PBは酒屋と蔵元の信頼関係があってこそできるもの。だからこそお客様の期待を裏切らない美味しいものをつくりたいですね」。

 

「志を立てるのに遅すぎることはない」。
夢は“みんなでこだわり抜いた焼酎”を
つくること。

 栫井さんが手がけるのはお酒だけではありません。「実は私、血糖値が高かったのですが、なんとか薬を飲まずに下げられないかと思って、“天然のインシュリン”と呼ばれていた菊芋を毎日食べるようにしたんです。そしたら血糖値が下がったんです。これはいい!と確信して、無農薬の菊芋をつくっている食品会社とお茶をつくったんです。人によって効果は異なるのでしょうが、私には効いたみたいで」。2年をかけて完成した「夢想健茶・菊芋の恵み」は口コミでその良さが広がり、リピーターの多い人気商品となっています。

 「今までいろんなチャレンジをしてきて『諦めからは何も生まれない』『良い物(焼酎)をつくるのに近道はない』ということを学びました。このふたつは私の好きな言葉です。現在65歳ですが『志を立てるのに遅すぎることはない』という気持ちでこれからも挑戦をし続けたいと思っています。当店のお客様はイベント販売で何時間並んでいても、文句も言われずにルールを守って買い物をしてくださいます。反対の立場だったら思うと…感謝の気持ちでいっぱいになります。当店が一番誇れるのはお客様かもしれません。そんなお客様と芋の苗木植え収穫、田植え、稲刈り、仕込みまで全ての工程に関わって、麹や芋、水など原料も徹底してこだわった焼酎をつくりあげることが私の「夢」です。まだまだやりたいことは尽きません」。栫井さんの楽しいチャレンジはこれからも続いていきそうです。

 

 

<編集部コメント>

 どんなにプレミアがついているお酒でも高値をつけず、定価で販売してきたという栫井さん。その実績からか、お客様は値段が貼ってない商品でも価格を聞かずに買っていくそう。酒屋とお客様の素敵な関係に感動しました(N)

 

大浦酒造の「藤市(といち)」を手に。このラベルの「藤市(といち)」はジョイホワイトという芋を使った20度の焼酎で「カコイ酒店」のPB商品。ちなみに栫井さんは「唎酒師」「ワインナビゲーター認定講師」「日本酒学講師」など、10以上の資格保持者というお酒の達人!

 

約200年前の種モミが入っていた壺。この種モミから作られた江戸米(正式名称:寛四朗米(かんしろうまい))から「覇道」が誕生した

 

カコイ酒店のふるさと納税返礼品として、不動の一番人気となっているのが「みやこざくらと霧島赤黒セット」

 

スタッフのみなさんと一緒に。女性スタッフがイキイキと働いているのも印象的

 

店頭に飾られた「酒は天の美禄」の看板。その意は「酒は天が与えてくれた有難い贈り物である」。「カコイ酒店」ではその“贈り物”の素晴らしさを伝える

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