ウェブ制作会社が完熟マンゴーを販売!?農業の未来を思う「ぽけっと都城」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

ウェブ制作会社が完熟マンゴーを販売!?農業の未来を思う「ぽけっと都城」

 宮崎県の代表的なフルーツといえば、真っ赤に熟したマンゴー。四方を山に囲まれた都城市も、盆地特有の気候がマンゴーの栽培に適していると言われています。数ある都城産マンゴーの中でも今注目を集めているのが、全国各地から注文が殺到する「都(みやこ)のマンゴー」。販売を行うのは、ホームページの制作などを行う「ぽけっと都城」です。
 ウェブ制作会社がマンゴーを販売…? 無縁のように思える二者の関係に迫るべく、代表取締役の中村信幸さんを訪ねました。

 

都城のネタならお任せ!ポータルサイトをオープン

 2008年に創業した「ぽけっと都城」。都城市の総合情報ポータルサイト「ポケミヤ!」を運営し、飲食店をはじめ、美容室や病院、ホテルなど都城市の暮らしの情報を幅広く発信しています。「創業以前から、まちの情報がパソコンや携帯電話で簡単に手に入ったら便利だよねと、妻とよく話をしていました。“だったら、自分たちで作ってみよう!”と。それが設立のきっかけです(笑)」
 まず、ポータルサイトを立ち上げるにあたって、広告営業を行い、掲載店を集めなければなりません。「私たち2人とも営業は未経験だったこともあり、最初は手探りでした。ただ、ポータルサイトが重宝される時代は絶対来る!と、どこか不思議と自信はありましたね」。とはいえ、その当時はスマートフォンがほとんど普及していない、“ガラケー”が主流の時代。パソコンに関しても、自宅で利用している家は都城市内では少数という現実…。そこで、お店や企業を一軒一軒訪ね歩いて、ポータルサイトの説明をすることから始めました。

 

門前払いの連続…。しかし、次第に口コミで評判に!

 創業時、「ぽけっと都城」の代表取締役には奥様が就任。中村さんは平日にシステムエンジニアとして企業勤めをする傍ら、休日に運営のお手伝いをしていました。「スタート当初、妻が営業でお店に足を運んでも、パソコンやウェブに馴染みのない人からは門前払いの連続。私もできる限りサポートしていましたが、何度も心が折れそうになりましたね…。しかし、こつこつと地道に営業活動を続けていると、1件、2件…と掲載件数が増え、すると口コミで評判が広まり、徐々に認知度が上がっていきました」。その功績の裏側には、打開策として打ち出した“ワンコイン(500円)広告”の後押しもあったと言います。「今は終了しましたが、“500円でお店の紹介をします!”という破格の企画でした(笑)。都城では“お値打ち”じゃないとダメだと気づいたんです。そのあたり、みなさんとてもシビアですから」と、中村さんは当時を振り返ります。
 さらに追い風となったのが、2011年前後のスマートフォンの普及です。「今となっては当たり前ですが、スマホがあれば手元で簡単に情報を検索できるという便利さと、その価値が浸透し始め、掲載件数が飛躍的に伸びました。その後安定して件数は増え、現在では200件を超えるまでに! “ポケットに、都城の情報を(=ポケミヤ!)”という私たちの思いが、実を結びました」。

 

高校時代の友がつくる、マンゴーとの出会い

 ポータルサイトの掲載件数が増えると、次は掲載店や企業から公式ホームページの制作依頼が舞い込んできたそうです。加えて、チラシなど販促ツールの制作も依頼されるなど、徐々に業務内容が広がっていきます。そのうちの一つが、2012年頃から販促と販売を手がける「都のマンゴー」です。「都のマンゴーは、私の高校時代の野球部の友人が栽培しています。彼は、“丹精込めて育てた自慢のマンゴーだからこそ、いろんな場所へ自由に出荷したい”という思いがありました。そこで、私たちも協力し、一念発起してネット販売に踏み切ることに。これまでの安定した販路をすべて断ち切るなど、大きな決断を下した友人。その姿をずっと見ていたので、絶対にサポートしなくては!と私たちの販促活動にも力が入りました」。

 

商品本来の価値を見出し、正当な価格で販売

 「都のマンゴー」は、樹上で熟し自然に落果したものだけをネット袋でキャッチして収穫するため、マンゴー本来の香り、色、外観、味ともに最高峰と言えます。その魅力をより多くの方に知っていただくため、中村さんもホームページや販促ツールの制作だけではなく、新たな販路を確保するために市内のさまざまな市場を奔走。新たな販路拡大に尽力しました。その時はすでに、中村さんは会社を退職。「ぽけっと都城」に本腰を入れ、奥様に代わって代表取締役を務めていました。
 そして、2016年には「都のマンゴー」がふるさと納税の返礼品に採用されることに!「テレビで都城市がふるさと納税の寄付額が日本一になったというニュースを見て、友人とふるさと納税で次なる販路拡大に挑戦したいね、と話をしていました」。採用決定後、年々出荷数は増加。今は生産量をさらに増やしていきたという展望もあるそうです。
「農家さんは、作り手としての業務で精一杯の方が大半です。だからこそ、私たちが生産者の方の負担を少しでも軽くし、その商品に見合った正当な価格で販売する手助けしたいと思っています。ずっと続いていく農業の未来ためにも、とても意味のある任務だと感じています」。

 

マンゴーだけでなく和牛も! 都城を全国にアピール

 2018年11月には、「ぽけっと都城」が販売と販促を一手に担う「おおがた牧場」の黒毛和牛が返礼品として加わることに。標高350メートルに位置する牧場で、霧島山系の湧き水と良質な飼料でのびのびと育てられた和牛は、肉質も味わいも格別です。「出品は始まったばかりですが、少しずつ出荷数も増えています」と、中村さんも今後の飛躍に期待をにじませます。
 あくまでもポータルサイト「ポケミヤ!」の運営を軸とし、これからもホームページの製作や販促ツールの制作などを進めていくという中村さん。都城のヒット商品の裏側には、「ぽけっと都城」あり! そんな日もそう遠くはないかもしれません。

 

 

<編集部コメント>

農業の未来を熱く語ってくれた中村さん。「次代の農業の担い手の育成、自由な販路の開拓など、先々も見据えた環境改革がこれからの大切なミッション」とおっしゃっていました。同じく、ポータルサイト「ポケミヤ!」がスタートした際も、近い将来ウェブが身近になる時代が来ると、先々を予見していた中村さんは、これからも都城に新風を吹き込み続けてくれるでしょう。(N.N)

 


クライアントとの交渉や企画の提案などはすべて中村さんが実施。その内容をもとにエンジニアやデザイナーと協力し、制作を進めています

 


「ぽけっと都城」はホームページの制作のほか、チラシやロゴデザイン、商品のパッケージなど幅広く手掛けています

 


濃厚な甘みとジューシーさが特徴の「都のマンゴー」。一度食べると、ほかのマンゴーが食べられないとか

 


霧島山麓の豊かな環境で育てられた「都のマンゴー」。収穫したマンゴーはすべて当日に出荷しています

 


昨秋、ふるさと納税の返礼品として新たに加わった「おおがた牧場」の黒毛和牛

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