和と洋を融合させ 他にないお菓子を作る 「お菓子の南香」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

和と洋を融合させ 他にないお菓子を作る 「お菓子の南香」

 明治34年の創業以来、地元の人たちに愛され続けてきた菓子処「南香(なんこう)」。店内に掲げられた「温故而知新」の文字は店のお菓子作りの精神そのもの。「かるかん」や「これがし(高麗菓子)」など、昔ながらの郷土菓子の味を大切に守りつつ、時代のニーズに応える数々の商品を生み出しています。「伝統を受け継ぎながら、どこにもないお菓子を作っていきたい」と語る4代目の遠武大輔さん。7年間の修業を経て、2010年に都城に戻り、3代目である父・弘蔵さんのもとで和菓子作りを学ぶ傍ら、新商品開発にも情熱を注ぎます。そんな大輔さんのこだわりやヒット商品の誕生秘話を伺いました。

 

代々受け継がれる
職人の技と心

 「お菓子の南香」は、大輔さんの曽祖父さまが創業、二代目が店の基礎を築き、三代目弘蔵さんが法人化、平成4年に現在の大きな店舗を新築しました。今も和菓子部門の指揮を執る弘蔵さんは、この道55年の大ベテラン。ふるさと納税の返礼品である「島津荘園」と「焼酎ケーキ」は、弘蔵さんが考案したものです。昔ながらのかるかんに、地元の栗とお茶で作った栗きんとんを合わせてアレンジした「島津荘園」は、全国菓子大博覧会・名誉総裁賞をはじめ、数々の賞を受賞したロングセラー商品となっています。

 地元の生産農家が作る上質な素材を存分に生かし、この土地でしかできないお菓子を作ることが弘蔵さんの信条。そんな父の背中を見て育った4代目の大輔さんも、“「南香」らしさ”を念頭にお菓子作りに励んでいます。

 

都城らしさ、
「南香」らしさとは!?

 福岡の和菓子店や洋菓子店、ホテルでシェフパティシエなど7年間の修業を経て10年前に都城に戻った大輔さん。帰郷後すぐに洋菓子部門を任されたそう。「地元の人たちを驚かせようと、都会的で華やかなケーキをショーウィンドウに並べたのですが、思いのほか売れませんでした。毎日夜遅くまで、これでもかときれいなケーキを作りましたが、それではだめだと気づきました。味噌や醤油が違うように、食の好みには地域性があります。都会のケーキを再現するのではなく、都城に適したものを作ろうと考え方を変えたら、徐々に受け入れられるようになりました」。

 以来、“地域に愛される味とは!?”“他店とどう差別化するか”を問う日々。「大型店やコンビニなど、たくさんのお菓子が町に溢れる中、わざわざ店に来て買ってもらうには、うちにしか作れないという価値をお客様に見出していただくことが必要だと思うんです。うちの強みは和菓子も洋菓子も自社ですべて手作りしていること。くずやわらびなど普段洋菓子では使わない素材を使ったり、餡や栗きんとんを使ってみたり、和菓子の製法を取り入れたり、和菓子屋だからできる洋菓子を作るのがよいのかな…と。どこにもない商品を作って、一人でも多くのお客様に喜んでもらえたらうれしいですね」。大輔さんの作る洋菓子は、新しいものに出会う新鮮さがありながら、親しみやすく、子どもからお年寄りまで、幅広い層に好評です。

 

“放浪の菓子職人”との出会いによる
和菓子大革命!

 ちょうど大輔さんが戻ってきた10年前、「南香」の和菓子に大きな変化が訪れます。きっかけは、自らの店を持たずに全国を渡り歩いて和菓子店に極上のあんこ炊きを伝授する“放浪の菓子職人”小幡寿康(おばたとしやす)氏との出会い。日本で300年以上変わらず受け継がれてきたあんこ炊きの製法を一新し、小豆本来の香りを引き出して極上のあんこに仕上げる小幡氏の製法を直々に教えてもらったことで、「南香」の和菓子は大きく進化しました。

 「あんこの炊き方と栗きんとん作りを伝授していただきましたが、その製法は驚愕でした。以来10年間、責任をもって教えてもらったとおりのあんこ炊きをしています。小幡氏の製法で作るあんこは、小豆本来の味と香りがしっかりと感じられるのが特徴で、一番その美味しさを感じてもらえるのは「どら焼き」です。うちでは、毎朝皮を焼き、その日に作ったものしか店頭に出していません。ぜひ一度食べてあんこを味わってみて欲しいです」。2019年春にTV番組で小幡氏が特集されたこともあり、小幡氏直伝のあんこが食べられると全国から問い合わせがあるのだとか。小幡氏は今でも定期的に味のチェックや技術の指導に来られるそうです。

 

「美人檸檬ケーキ」は
食べるレモンスカッシュ!

 約1年にひとつのペースで新商品を考案している大輔さん。返礼品のひとつである「美人檸檬(べっぴんれもん)ケーキ」は、3年前に完成させた渾身の一品です。「美味しいと言われる全国のレモンケーキを食べに行っては、何度も試作を重ねました。一番の課題は香料や酸味を加えず、いかにレモンの味を際立たせられるかということ。そこで目を付けたのがレモンの“種”。普通、レモンケーキには実や皮しか使わないのですが、うちには和菓子作りに使う大豆を砕く機械があったので、種まで細かく砕いて入れたところ、もう、びっくり! 食べた瞬間、口の中にシュワッとレモンスカッシュが広がるような、爽やかなレモンケーキができたんです。種は可能性の塊ですね! ものすごい力を秘めていました」。発売後 “食べるレモンスカッシュ”のキャッチフレーズでSNSにアップすると、瞬く間に評判となり、今では全国から注文が来ているそうです。

 「小幡さんや父の指導のもと、和菓子をより深く知ることで、洋菓子にも応用できる味や食感のヒントが浮かびます。和洋菓子兼業の店は珍しくはありませんが、たいていどちらかに力が入っている店が多いように感じます。うちは父もまだまだ現役なので、どちらともしっかり力を入れていきたいと思っています」と大輔さん。これまでのお菓子の味を守りながら、和菓子や洋菓子の枠を超えた「南香」らしい商品で、美味しいサプライズを届けてくれそうです。

 

 

<編集部コメント>

「美人檸檬ケーキ」をはじめ、溶けにくいソフトクリーム「島津の名刀」など、商品のアイデアもさることながら、ネーミング、ポスターのコピーなどもユニーク。すべて大輔さんが考えられているのだとか。(編集部T)

 


2020年のヒット商品、ふんわりなめらかな食感の「バナナジュース」。青いバナナを使用し、砂糖不使用で驚きの甘さ!どこにも負けない自信作。

 


定番から季節のお菓子まで、和洋ともにバリエーション豊富なラインナップ。妊婦さんが食べても安心の、保存料や添加物不使用のお菓子が並びます。

 


毎日400個の「美人檸檬ケーキ」を手作りしています。フレッシュなレモンの香りがたまりません。

 


ひと息つく時、和めるようにと厨房の天井は青空。「職人さん一人ひとりが太陽のように輝いて欲しい」という思いから、太陽はあえて描かれていないのだとか。

他のレポートを見る