町の小さなお肉屋さんから連日大盛況の「みそカツ」専門店に!「森精肉店」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

町の小さなお肉屋さんから連日大盛況の「みそカツ」専門店に!「森精肉店」

 1日中訪れる人が後を絶たず、休日には広々とした駐車場が満車になるほど賑わう「森精肉店」。中に入ってショーケースを覗いてみると、ズラリと並んでいるのは豚や鶏などのいわゆる “味噌漬け”のみで、味付けされていない精肉は一切ありません。

 みんながお目当てにするのが、この店の名物「特製みそカツ」です。それにしても訪ねたのは平日午前中だというのに、店頭は目まぐるしいほどの忙しさ。できるだけお客様をお待たせしないようにと、予め「みそカツ」が2枚から5枚まで1枚単位で分けてあるのも人気を物語っています。この味を開発したのが、代表取締役の森浩一さん。町の小さな精肉店を20歳ではじめ、一代で全国的にファンをもつ「みそカツ」専門店を築き上げました。

 

開店早々、近隣に大型スーパーが進出!
周囲の人たちに支えられ、
取引先を開拓していたことが奏功

 養豚業を営んでいたご両親に勧められ、森さんが小さな精肉店を開店したのは昭和52年のこと。「シティボーイに憧れて(笑)東京で働いていましたが、体調を壊してしまい都城に戻りました。両親は養豚業の苦労が身に染みていたのか、家業を継ぐようにとは一度も言わず、〈休みもきちんととれるし、お肉屋さんしてみたら?〉と助言してくれたんです」。

 多品種多部位を取り扱う、いわゆる町のお肉屋さんとして創業した「森精肉店」。森さんの明るい人柄もあり近所から愛されていましたが、開店からほどなく、近くに大型スーパーマーケットが進出!当時、このスーパーの進出により、都城市内では小さな精肉店の多くが苦戦を強いられましたが「森精肉店」は焼肉店や病院、保育所とも取引していたことが幸いし、大きな痛手を受けずに済んだそうです。「小売りだけに頼っていなかったことが功を奏しました。取引先はすべて知人たちが紹介してくれたんですよ。都城は本当に人がいい町。これまでもずっと周囲のみなさんに支えられてきました。“人間関係がうまくいかないと、仕事もうまくいかない”、これが私の信条です」。

 

開発からあっという間にエース商品に成長。
真空パックとチルド輸送も追い風に!

 大型スーパーの進出をきっかけに「これからは何か付加価値のあるオリジナル商品をつくらねば!」と考えるようになった森さん。まず着手したのは“焼肉のたれ”でした。「これが売れに売れ、店の仕事が追いつかないくらい大変になったのでやめたんです(笑)。次なる商品をと開発したのが味噌だれでした」。この味噌だれで豚肉を漬けた「みそカツ」は発売当初から人気に。「最初は近所の方が買ってくださっていましたが、〈美味しかったから親戚に送ってあげたい!〉と言われて冷凍発送するようになったんです。そうして受け取った方がまた注文してくれて、遠方への発送も増え始めました」。

 さらなる飛躍のきっかけになったのは、“真空パック入りの「みそカツ」を開発したこと”と、“宅配便のチルド輸送がスタートしたこと”でした。「真空パックでギフト需要が高まりました。また、それと時を同じくしてチルド輸送ができるようになって、美味しさをそのままに届けられるようになったんです」。その当時、森さんと奥様・真奈美さんの平均睡眠時間は2〜3時間。現在、両親とともに家業に携わっている長男・裕太郎(下写真:左)さんは「両親が深夜まで働いていたのを覚えています。自分も小学校の後、野球に行って、塾に行って、帰ってきてから家の仕事を手伝っていました。猫の手も借りたいくらいの忙しさだったんでしょうね。〈今日は(発送用の)樽を何個ね!〉っていうノルマがありました(笑)」と当時を振り返ります。次男・弘孝さん(下写真:右)が生まれた頃にははじめてパートスタッフ1人を迎え入れ、現在はスタッフの数も22名に。全員が一丸となって、日々「みそカツ」の製造・販売に勤しんでいます。

 

秘伝のたれは門外不出。
創意工夫を重ね、都城のソウルフードに

 こうして「みそカツ」が大人気となった「森精肉店」では15年ほど前から他の肉の販売をやめ、「みそカツ」専門店となりました。

 気になるたれのレシピは森さん一家以外、門外不出。「たれには都城産の味噌と醤油、各種スパイスなどが入っていて、保存料は一切使っていません。肉も南九州産の上質クラスの肩ロースのみ。この味は都城でしか出せないんです」と森さん。肉の表面に切り込みが入れてあり、食べた時の歯切れがよく、柔らかいのも「みそカツ」の特徴です。その濃厚な美味しさはご飯やお酒との相性抜群。一口サイズの「みそカツ」はお弁当のおかずとしても人気です。「学生時代、お弁当のおかずにうちの〈みそカツ〉が入っていたら、友人たちから〈おかず交換して〜!〉と言われました。時にはお弁当を開けたら、お互いにおかずが〈みそカツ〉だったことも!」と弘孝さん。もはや「みそカツ」は都城のソウルフードとなっているのかもしれません。

 

スタッフや地域のみなさんとの縁を大切に
これからも都城発の美味しさを届けたい

 日々忙しい「森精肉店」ですが、スタッフのみなさんがいきいきと笑顔で働いているのが印象的です。「働きやすい環境づくりは大切にしています。みんな縁あってうちに来てくれているので、スタッフは大事にしなきゃ。入社の際も〈一度試してみて、続けられそうだったら続けてほしいけど、嫌だったらやめてもいいからね〉と伝えていますが、有難いことにみんな長くいてくれて、離職率が低いのがうちの自慢。新型コロナウイルスの流行で社員旅行も中断してしまったけど、また再開したいですね」と森さん。

 お中元やお歳暮などの繁忙期には、市役所に紹介されて業務委託をしている障害者施設から実習生たちが十数人で作業にあたってくれています。また、近隣の小学校からは2年生が社会科見学にくるなど、「森精肉店」は地域の人との交流も大切にしています。「施設からの実習生も本当に真面目できちんと仕事をしてくれて助かっています。うちは地域のみなさんに助けられてここまできました。都城は本当に人に優しくて、暮らしやすい町。これから地域とともに歩いていきたいですね」。明るい森さん一家を中心に、スタッフ、地域の人々と「みそカツ」が縁をつなぎ、笑顔が広がっています。

 

 

<編集部コメント>

「類似商品も多い中、勝ち残ってきた秘策は?」との質問にも、「単に私の人柄でしょうか(笑)」と返した森さんに取材チーム一同大爆笑。サービス精神旺盛な森さんに抱腹絶倒の取材でした。しかし、人を楽しませ、その人がいるだけでパッと場が明るくなるって天賦の才。周囲への気配りを忘れず、気がまわることも成功の秘訣なのだと学びました。最後に、家で焼いて食べた「みそカツ」、最高に美味でした!(N)

 

「揚げてないのになぜ〈カツ〉なのかとよく聞かれます。他メーカーの〈みそ漬け〉との差別化というのもあるのですが、実際に衣をつけたり、片栗粉をつけて揚げても美味しいんですよ。私のおすすめは大根おろしを添えること」と真奈美さん

 

オンラインでは肩ロースのみだが、店頭では同じみそだれに漬けた「豚ホルモン」「豚タン」「鶏モモ肉」も販売している

 

バックヤードに積み上げられた発送用の箱。その量は圧巻!

 

毎日仕込みを行うスタッフのみなさん。作業が終わったら毎日、細かな部分まですべて掃除しているため、作業スペースは清潔そのもの

 

堂々たる店構え。創業当時の小さな店から4回の建て替えを経て、現在の店舗に。「これからは兄弟で力を合わせて、今まで以上に事業を大きくしていきたいですね」と裕太郎さん・弘孝さん

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