独自の製茶方法で、都城茶の魅力を引き出す「丸勝園」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

独自の製茶方法で、都城茶の魅力を引き出す「丸勝園」

 畜産のまちとして知られる都城市ですが、実はお茶の産地としても有名。お茶の生産量全国第4位という宮崎県の中でも、都城市の栽培面積は県内最大。製茶産業の歴史は約300年にもわたります。
 そんな都城の豊かなお茶文化を発信しているのが、昭和43年創業の「丸勝園(まるかつえん)」。初代・五反田勝雄さんが立ち上げた製茶加工・販売業を、現在は2代目・藤元敏浩さんが受け継いでいます。

 

固定概念は抱かず、本当に良質な茶葉を仕入れ

 創業から約50年。「誰にでも喜ばれる製品づくりがモットー」と語る、藤元さん。創業時と変わらず、独自の技術にこだわり続け、その味を市内直営店3店舗及び県内スーパー、全国で提供しています。
 「うちでおもに取り扱っているのは、都城産の茶葉です。茶葉は、中間問屋を通さず、茶市場から厳選したものを直接仕入れ、自社工場で熟練の茶師が加工しています。茶葉の仕入れのタイミングは、毎年4月、5月に一番茶、6月に二番茶、7月、8月に三番茶。春から夏にかけて年間の茶葉をすべて仕入れています」。
 茶市場には、都城圏域のさまざまな農家が茶葉を持ち込み、製茶業者が入札をして仕入れを行っているそう。「農家さんによって、茶葉の形状にこだわる方、水色(淹れた時のお茶の色合いのこと)にこだわる方と、目標とする栽培方針が違うんですよ」。市場に集まる農家が仮に10軒あれば、茶葉の特性も10通り。しかも、その年の気候によって、茶葉の出来はかなり大きく変わるとか。
 「創業時よりお付き合いしている農家さんは、味も香りも、見た目も高レベルな方ばかりです。しかし、仕入れる際に大切にしていることは、固定概念にとらわれないこと。その年によって、“お、これはいいぞ!”と思う農家さんとの新たな出会いもあります」。

 

お茶の栽培に適した都城の気候条件

 その土地の気候風土に大きく影響を受ける茶葉。都城は、盆地特有の気候で朝晩は寒く、日中は暖か。まちの中心に大淀川が流れていることから、霧が深いことでも知られています。この川霧が直射日光を遮ることで、お茶の中に葉緑素が増えて鮮やかな緑色をつくり出し、甘み・旨み成分のテアニンも増えるといいます。こういった地の利によって、良質な都城茶が育まれています。
 「霧はお茶にいい影響を与えてくれます。一方、生育の最大の敵は霜。茶葉の品質を下げる、霜焼けの被害は深刻な問題です。農家のみなさんは、風を発生させる防霜ファンを回したり、スプリンクラーで水をまいたりと、さまざまな対策を講じて霜の発生を防いでいます。気温がぐっと下がる寒い日は、深夜でも茶畑へ足を運んだり…。そんな苦労を知っているからこそ、“いい茶葉を私たちの力でもっとおいしくしたい”と、使命感も湧いてきます」。

 

おいしさの秘密は “2度の火入れ”

 そうして大切に仕入れた茶葉を「丸勝園」では、独自に加工しています。まずは、茶市場から仕入れてきた「荒茶」と呼ばれる茶葉の選別からスタート。ふるいや色選別機にかけ、煎茶の主体となる「本茶」と、出物と呼ばれる「粉茶」「茎茶」の3種類に選別。それぞれを2回に分けて火入れします。
 「うちの最大の特徴は、2度の火入れです。最近は、機械化が進み、1度の火入れで大量生産が可能な遠赤外線の機械を導入している製茶業者も多いのですが、うちは創業時からガスの火入れ機を使い続けています。1度で一気に火入れをすると、茶葉に負担をかけてしまうため、本来の旨みを損なうことも。うちでは、1回目は茶葉の表面にだけ火入れをし、2回目は温度を上げて茶葉の芯の部分まで火入れ。熟練の茶師が、その日の気温、湿度、茶葉の特徴を把握した上で、自動でも出来ますが、あえて手動で温度や時間などを毎回コントロールしています」。
 茶葉の味と香りを決める火入れ。丹念に仕上げられた茶葉は、旨みとまろやかさ、ほのかな香ばしさが調和し、「丸勝園」ならではの味わいをつくり出しています。

 

海外への販路も開拓! 都城の “おいしい” を世界へ

 「私が2代目社長に就任して早10年。業務引き継ぎの最中に先代が急逝し、このまま会社を存続できるのかと不安な時期もありました。しかし、社員のみんなは先代の頃と変わらず、丸勝園を支え、盛り立ててくれています。本当に心強いですね」。
 10年というひとつの節目を迎え、次なる展望も教えてくれた藤元さん。「若い世代に“急須で淹れるお茶のおいしさ”をもっと知ってもらいたいと思っています。それから、現在香港や台湾などへ販路拡大を計画しており、都城のお茶の魅力を海外へも発信していきたいです」。
 静岡茶、八女茶、宇治茶…など、全国に名を轟かせる名茶があるように、“宮崎県都城市にもおいしいお茶がある!”ということをアピールしたいと語る藤元さん。都城のお茶が全国、さらには世界で飲まれる日を目指し、「丸勝園」は今日も手間暇かけてお茶をつくっています。

 

 

<編集部コメント>

とくに印象的だったのは、工場内を見学させていただいた際、機械や工場のすみずみに手入れが行き届き、ピカピカだったこと。機械は昭和50年代につくられたものとのことでしたが、丁寧に扱い、きちんと手入れをすることで、「丸勝園」の味を守り続けているのだと改めて感じました。お茶づくりへの真摯な姿勢が、そういった細部にも表れているようです。(N.N)

 


お付き合いのある農家の茶畑には、新茶のシーズンに合わせて足を運ぶという藤元さん。生育状況や摘採時期などを聞き、そこから逆算して販売時期を決定するそうです

 


荒茶を選別機にかけている様子。3種類に選別され、本茶は煎茶に、茎茶は白折茶、粉茶はティーパック商品として販売されます

 


ふるさと納税の返礼品にもなっている、看板銘柄の「霧乃ほまれ」。すべて都城産の茶葉を使っています

 


本社に併設されている販売店。多彩なラインナップのお茶を揃えています

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