自社ブランド牛「霧島和牛」を牧場から直接届けたい!「KIRISHIMA RANCH」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

自社ブランド牛「霧島和牛」を牧場から直接届けたい!「KIRISHIMA RANCH」

 2016年、前オーナーが牧場を移転した跡地を引き継ぎ、異業種から畜産業に参入した「KIRISHIMA RANCH」。創業当初から「生産」×「加工」×「販売・飲食など」を行う6次産業化を目指し、2021年4月には宮崎市内にレストラン「THE TERRACE」と「霧島精肉店」をオープンしました。ECサイトも立ち上げ、精力的な取り組みを続けていますが、実は現地責任者を務める木村知弘さんは元旅行会社の営業マンで畜産経験ゼロからのスタート。この5年、木村さんやスタッフのみなさんがどう歩み、「KIRISHIMA RANCH」がどうやって成長してきたのか?そこには様々な〈縁〉がありました。

 

サラリーマン生活から一転!
畜産知識ゼロから牧場経営者に

 転職した会社が牧場の前オーナーと〈縁〉があり、場所を引き継ぐ形で畜産業に参入。木村さんがその責任者として都城へ移住したのが2016年でした。「ホルスタインと肉牛の違いすらわからない…その程度の知識でいきなり畜産王国・都城にやってきてしまいました(笑)。前オーナーに付き添ってもらい、牛一頭を競り市場で買うところから牧場経営が始まりました」。大阪・心斎橋でのひとり暮らしから霧島山麓の牧場へ、木村さんのライフスタイルは激変!朝の餌やりや牛舎の掃除にはじまり、出産、肥育、牧場経営のノウハウまで、指導を受けながら牛たちと共に暮らす日々に。「毎日が手探り、試行錯誤の連続でした。牧場は繁殖専門、肥育専門のところも多いのですが、うちは最初から繁殖・肥育一貫。会社としても当初から6次化を目指していたので、これはもうやるしかない!とがむしゃらでしたね」。現場で指導を受けながら、日々勉強を怠らず、経験を積んだ木村さんは「家畜人工授精師」の資格も取得。牧場での仕事を経て、現在はジェネラルマネージャーとして牧場とレストラン、精肉店の経営に携わっています。

 

人の〈縁〉に恵まれ、ピンチを脱出!
畜産業の「働き方改革」にも取り組む

 創業から数年、まだまだ畜産技術も不安定で、指導者の存在が大きかった頃、前オーナーが急逝。「この時は本当にどうしたらいいのか、途方に暮れてしまいました。でも、ちょうどその頃、家畜市場で知り合い、信頼関係を築いていた和牛繁殖農家のベテランの方に入社してもらうことができました。また、その方からの紹介で、大手牧場で長年経験を積んだ方も入社してくれることに。まさにふたりは救世主!でした。その後もスタッフが先輩を連れてきてくれるなど、とにかく都城にきて〈人の縁〉に恵まれました」。

 また、木村さんが考える牧場経営も人を惹きつけるものでした。「牧場=年中無休の家族経営というイメージをお持ちの方も多く、高齢化や後継者不足が問題になっています。自分はその改革にも取り組みたかった。うちは朝8時から夕方5時が定時。今の時代に合った働き方を大切にしています。もちろん、牛が出産しそうだ!となったら、残業もお願いしますが、それ以外は基本定時帰社です。社員の負担を減らすため、IoT技術も導入し、牛の健康管理や発情探知なども行っています」。〈人の縁〉と〈働き方改革〉により、「KIRISHIMA RANCH」には徐々にいい人材が集まり、いいチームワークでオリジナルブランド牛〈霧島和牛〉の生産に取り組んでいます。(以下写真、前列左が木村さん、中央が救世主となったベテラン・眞鍋さん)

 

愛情をかけ、
IoT技術も駆使しながら
上質な牛を肥育

 ここで生まれた子牛は、競りに出される牛とそのまま肉牛として肥育される牛、母牛となっていく牛に分かれます。その分かれ道は、血統や生まれ持った体格、発育状態などで決まるのだとか。肥育牛の餌はそれぞれに変え、自社ブランド牛〈霧島和牛〉となります。「餌にはオメガ3脂肪酸が豊富なアマニ油の搾りかすを取り入れています。これを採用してから肉の味が変わり、A5ランクの上位に入るようになりました」。また、「KIRISHIMA RANCH」では、牛に与える飼料にホルモン剤や、早く太らせるための抗生物質モネンシン(EUでは使用禁止物質)等を用いていないほか、牛にストレスがかからないように、牛舎の中は2〜4頭に仕切り、ゆったりとしたスペースを確保。生まれた子牛も離乳までの約3ヶ月間はスタッフが直接ミルクを与えるなど、時間と愛情をかけて大切に安心安全な牛を育てています。

 さらに、IoT技術によって牛の健康や繁殖管理を行っているのも「KIRISHIMA RANCH」の特徴。「〈ファームノート〉というシステムを採用しているのですが、これを使うことで牛の活動量や反芻量、休憩量などをスマホで把握できるんです。活動量が増え、休憩量が減ると発情のサインなので種付けを行い、反芻量が減ると疾病が疑われるので注視します。このシステムがあることで、経験が浅い社員も一頭一頭の牛をしっかりと管理できるんですよ」とスタッフの榎窪幸大(えのくぼこうた)さん(↓写真)。今までベテランの勘だけに頼っていたことを技術で補い、ベテランにはベテランにしかできない出産や技術継承を行ってもらう。人とテクノロジーの力がひとつになり、上質な〈霧島和牛〉が誕生しています。

 

〈霧島和牛〉と都城産野菜を使った
「地域循環型」レストランも展開

 さらに、「KIRISHIMA RANCH」ではSDGsの活動の一貫として、牛の堆肥を近隣の農家に提供。そこで育てられた野菜を仕入れ、自社レストラン「THE TERRACE」で提供しています。「1プレートにうちの牛と、うちの堆肥で育った野菜をのせてお客様へ提供できる〈地域循環型のレストラン〉を目指しています。何より畜産農家としてのこだわりやストーリーをお客様に直接伝えられ、感動してもらえるのが嬉しいですね」。また、レストランの隣には「霧島精肉店」も併設。どちらも〈霧島和牛〉の美味しさを伝えています。さらに、レストランや精肉店、牧場で働くスタッフは、互いの現場で研修。自分たちの牛がどのように育てられているか、お客様が何を望んでいるかを現場で体感し、自分の仕事にフィードバックしています。2ヶ月間牧場に研修にきていたレストランスタッフの河越さんと本宮さんは「今までは牛肉を単なる食材として見ていましたが、ここにきてその感覚が変わりまいた。生産現場の苦労や工夫を体感することは料理人にとって有意義なことだと思います」と語ります。

 「英語で農場はファームですが、うちは大規模牧場を意味するランチを名乗っています。これからもっと事業を拡大していきたいですし、この豊かな都城の地で育った〈霧島和牛〉を全国に届けていきたいですね」と木村さん。都城市のふるさと納税返礼品として提供しているコロッケやメンチカツもすでにリピーターが増加中。今後はすき焼き用肉なども登場予定だとか。これからの飛躍が楽しみです。

 

 

<編集部コメント>

畜産業の新たなあり方に取り組む「KIRISHIMA RANCH」。実際に牧場に伺い、大切に育てられる牛も、働く人も、安心安全で美味しいお肉をいただく消費者も、みんなが幸せになれることに挑戦し続けていることが伝わってきました。(N)

 

「KIRISHIMA RANCH」オリジナルステッカーとお肉を購入した方にお渡しするシーリングバッグ。オリジナルグッズはECサイトでも販売している

 

牧場では毎月多くの子牛が誕生している。「初産の時は大変ですが、回数を重ねた母牛は出産も慣れたものです」

 

牛ミンチがたっぷり使われたコロッケは返礼品として人気!今後はハンバーグやカレーなども登場予定

 

発酵させた和牛堆肥は乾燥させて農家に提供している

 

牛は霧島連山の美しい湧水を飲んで育つ。母牛と肥育牛によって乾草と配合飼料の配分比率をわけている。配合飼料は大麦、とうもろこしなどが中心で、抗生物質は一切使っていない

他のレポートを見る