酪農家の想いをつなぐ安心・安全な美味しい牛乳。「南日本酪農協同株式会社」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

酪農家の想いをつなぐ安心・安全な美味しい牛乳。「南日本酪農協同株式会社」

 宮崎はもちろん、全国にファンがいる人気ドリンク「スコール」「ヨーグルッペ」を手がける乳業メーカー「南日本酪農協同株式会社」。地元では「南酪(なんらく)」と呼ばれ親しまれています。昭和35年に創業し、南九州の生乳を使って、看板商品である「デーリィ牛乳」や乳飲料などの乳製品を作り続けています。田園風景が広がる高木町にある都城工場を訪問し、来年創業60周年を迎えるという歴史や製品への思いについて、商品開発部・部長の有馬勇夫さんに伺いました。

 

安心・安全な牛乳を、子どもたちに届けたい

「南日本酪農協同株式会社」は、「真心のこもった牛乳を一人でも多くの人に届けたい」という初代社長・木之下利夫さんの信念のもと、酪農家の夢と願いを集めて生まれました。「宮崎や鹿児島などの南九州の澄んだ空気と清らかな水、そして肥沃な大地で育った乳牛から絞る、新鮮な生乳だけを使うこと…これが一番のこだわりです」と有馬さん。工場では、精密な製品検査機材を導入しつつ、人の目視も欠かさない、徹底した品質管理を行っています。また南九州に起点を置く企業として、九州の商圏を考えたものづくりも行っています。「南九州には奄美大島など、離島が多数点在しています。島の子どもたちにも栄養価の高い牛乳を届けられるよう、『品質を保ちながら、何とか賞味期限の長いもの』を、と試作を重ね、常温で3ヶ月保存できる『ロングライフ牛乳』を開発し、島の人々に大変喜ばれたと聞いております」。心ある企業姿勢から、この会社が地元はもちろん全国的に愛されてきた理由が伝わってきます。

 

大阪研究所の立ち上げが、大きな飛躍に

 会社としての大きな転機は、昭和46年に大阪研究所(現在、研究所は都城工場に移設)を立ち上げたこと。「寒さに強く暑さに弱いという乳牛の特性から、夏場に不足し冬場に余るというアンバランスな生乳需給が構造的に発生し、どうしても余剰乳がでてしまう。なんとか有効活用できる方法がないか、と新商品の開発を急ぐためでした」。同社がモットーとする「先駆・創造」を合言葉に、乳製品の先進国であるヨーロッパの技術を取り入れながら、新たな商品を次々と開発しました。「今では日本にも定着したギリシャヨーグルトですが、実は30年前に当社で既に製造していたんですよ。時代を先取りしすぎていたようで、当時は販売に苦労しました」。先進的であるが故に、世の中に受け入れられず、研究所としての試行錯誤は続きました。

 

都城から全国へ!
超ロングセラー「スコール」誕生

 昭和46年、「南日本酪農協同株式会社」の快進撃のきっかけとなる、新たな商品・乳性炭酸飲料「スコール」が完成します。その発想の原点は「牛乳が苦手な子どもにも飲んで欲しい」という木之下さんの想い。牛乳を炭酸で割ると、牛乳のたんぱく質が炭酸によって固まってしまいますが、その難題も大阪研究所が見事にクリア。牛乳のコクと炭酸のスッキリ感を満喫できる味わいを確立しました。「『スコール』という名前は、木之下がデンマークを訪れた際に知った、『乾杯』の意味をもつ『スコール』、そして大地を潤す恵みの雨『スコール』が由来です」。キャッチコピーの“愛のスコール”は、子どもたちへ、そして酪農への愛を伝えたいという想いが込められています。「スコール」は大ヒットし、誕生から半世紀近く経った今も看板商品となっています。「現在は、さまざまなフレーバーや他企業とコラボした商品も登場しています。4年前には、『日本コカ・コーラ社』とライセンス契約を締結。これまで九州や関西が流通のメインだったのが、コカ・コーラ社の自販機において全国各地で購入してもらえるようになりました」。ファンの裾野も広がり続けています。

 

“日本初”がいっぱい!
柔軟な発想力で商品を開発

 昭和60年には、マイルドな甘酸っぱさを楽しめる乳酸菌飲料「ヨ-グルッペ」が誕生。「品質を保つために、それまで業界では化学合成の安定剤を使っていたのですが、安心、安全の面から天然の食物繊維の一種である『ペクチン』を使うという、国内ではじめての試みに挑戦した製品です」。ほかにも、チューブ入りのコンデンスミルクやモッツァレラチーズなど、 “日本初”の商品開発に果敢に取り組み、南九州の生乳の美味しさを、時代に合わせてさまざまな形で提案してきました。
 さらに、牛乳を飲むとおなかが痛くなる原因といわれる乳糖を分解し、体に吸収しやすく加工した「おなかにやさしいミルク」、そして最近では、都城市の友好交流都市であるモンゴルのウランバートル市にあるモンゴル国立科学技術大学、モンゴルバイオテクノロジー協会と協力して開発した乳酸菌を使う「LP432」シリーズも好評だそうです。

 

酪農の未来を守り続けたい

 近年、全国的に酪農家の廃業が続き、搾乳量の減少が深刻な問題になっています。「これからは、より生乳の貴重さを再認識してもらえるよう、付加価値を高めた商品や、生乳の特性を引き出す新商品の開発に力を注いでいきます。TPP11や日欧EPAの発効で、海外からの安価な乳製品が輸入されることが予想されますが、日本の、そして南九州の生乳の美味しさを伝え続けていきたいですね」。どんなに時代が変わっても、本物を届け続けたいという思いを胸に、新たな商品開発に取り組む「南日本酪農協同株式会社」。「先駆・創造」を合言葉に、より付加価値の高い製品を求めて今日も挑戦し続けています。

 

 

<編集部コメント>

取材時にいただいた「ヨーグルッペ」は、どこか懐かしさを感じる素朴な味わいで、ほっと一息つかせてもらいました。都城のスーパーでは日常的に箱買いする人も多いというエピソードを教えていただき、地元の方の“ヨーグルッペ”愛をしみじみと感じました。(K)

 


大自然のなか、酪農家からたっぷり愛情をそそがれて育てられる乳牛たち。大切に絞られた生乳は、毎日タンクローリーで工場へ届けられます

 


開発室には、これまで生み出されてきた商品がズラリと並んでいます

 


ベルトコンベアで流れていくのは「高千穂牧場」シリーズのカフェオレ。乳缶の形をイメージしたポリボトルの容器を自社工場で作るなど、パッケージにもこだわっています

 


学校などの教育関係や地元の人にむけた、団体専用の工場見学も行っています

他のレポートを見る