⼀朝⼀⼣では叶わぬこだわりの梅づくり。「徳重紅梅園」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

⼀朝⼀⼣では叶わぬこだわりの梅づくり。「徳重紅梅園」

 「土は命、食べ物は人の命」。豊かな土壌には、豊かな実りがあり、それをいただくことで、人も健やかに生きることができる…、そんな想いを胸に、真摯に梅づくりに取り組んでいる人がいます。徳重俊一郎さん。直販のみにも関わらず、その商品力で全国にファンを広げている「徳重紅梅園」の2代目です。自然の流れに逆らわない方法で、ただひたむきに良質な梅を追求する徳重さん。手間暇惜しまず、時間をかけて育む、梅づくりの現場を訪れました。

 

ふかふかの土壌で育った、幸せな梅

 「まずは梅園にいきましょう!」。案内された梅園に、徳重さんが持参したのは1m50cmを超える長い棒。この棒を軽い力で土の中に挿し込むと、棒が地中に吸い込まれるかのように奥深く入っていきます。これはこの土壌が柔らかく、ふかふかだという証。春に梅の実を収穫した後、夏から秋にかけて生えてくる雑草を刈り、梅の木々の下に置いて土へと還し、それを土の中の微生物が分解。長い時間をかけて栄養たっぷりの腐葉土が堆積していきます。これはまさに、自然の力と人の知恵がひとつになった土づくり。そこで枝を伸ばし、花を咲かせ、人に梅の実という恵みを与えてくれます。大切に育てられた「徳重紅梅園」の梅が、美味しいと評判になるのも納得です。

 

それはひとりの女性の情熱からはじまった

「徳重紅梅園」が誕生したのは昭和37年。徳重さんの祖母・文子さんが病を患ったことをきっかけに「本当にやりたいことをやろう!」と一念発起。虚弱体質だった幼少期に、民間療法として梅を食べていた経験を思い出し、梅づくりをスタートさせました。「どんなに時代が変わっても“自然の摂理”は変わらない」との想いから、こだわったのは有機土壌での栽培。「祖母はいい梅園をつくるために、さまざまな副業もし、そこで稼いだお金を梅園に注いできました。苦労しても、遠回りしても、素晴らしい梅をつくりたい!という一心だったと思います」。幼い頃からその姿を側で見て育ち、梅園が遊び場、梅干しが大好きだった俊一郎さんが、紆余曲折を経ても、文子さんの後継者になることは自然の流れでした。

 

常に生産性よりも「質」を優先

 「徳重紅梅園」で栽培されているのは、日本古来の品種「鶯宿梅」。「梅干しといえば“南高梅”を想像される方も多いかもしれませんが、“鶯宿梅”は栄養価が高いんです。鶯宿梅の梅干しは、南高梅の梅干しよりも色が赤黒いのですが、これは鉄分が多く含まれているため。実もしっかり肉厚で、香りもいいですよ」。確かにいただいてみると、果肉は弾力があって肉厚、口の中に梅本来の香りが広がります。この大きな実、樹齢50年以上の老木から採れているのだとか。「梅の木も人間と一緒。齢を重ねると、生産量は減るのですが、その分、大きく、ずっしりとした実をつけてくれる。量から質へと変わっていくんです」。
 収穫量が落ち込めば、古い木を処分して、新しい木を植えて増やすという考え方もありますが、ここではたとえ時間がかかったとしても、何より質を優先しています。「いい実をつけてくれるのはもちろんですが、祖母にとって梅の木は自分の分身のようなもの。切ることなんて、絶対にできません」。

 

梅のおかげで大怪我も免れた?

 幼い頃から梅干しが大好きだった徳重さん。今まで大きな病気はほぼしたことがないそう。「小学校に入る前、野球の硬球が顔に当たって、血だらけになり、病院に運び込まれたことがあったんです。これは手術が必要になるだろうと、麻酔医や口腔外科医が待機していたらしいのですが、検査してみると骨に異常もなく、回復も早くて。自分では梅のおかげだと信じています。まさに“いのちの梅干し”です」。
 目下の悩みは、小学1年生のお嬢さんが梅を好んでくれないこと。「小さい頃にあげてみたら、酸っぱかったらしく、それ以来…。毎日家族が食べているのを見ているので、そのうち食べてくれるようになってくれたらと思っています。時代が変わっても、本物の味を伝えていきたいですね」。

 

 

<編集部コメント>

インタビュー中、よく出てきたのが「梅も人と同じで」というフレーズ。植物も人間も同じ自然のサイクルの中で生きているということに度々気づかされました。あまりに土壌がふかふかなので、「台風が来たら倒れませんか?」と聞いてみたところ「栄養のある土壌に、梅はしっかりと根を広げているので少々のことでは折れません」とのこと。大切に、大切に育てられた「徳重紅梅園」の梅は本当に幸せな梅です。(N)

 


梅の老木についたサルノコシカケ(霊芝)。中国では梅の木についた霊芝が一番質がいいと言われています

 


夏場はずっと草刈りが続きます。刈った後の草は土壌の栄養に。1年間で5cm程度、ふかふかの土壌が堆積していくのだとか

 


ふるさと納税の返礼品としても人気の「梅肉エキス」は瓶をひっくり返しても中身が落ちてこないほど濃厚。土鍋を使い、1週間以上かけて作られます

 


梅園の土は黒々とし、やわらか。樹齢が長くても栄養たっぷりの土が立派な梅の実を育みます

 


青梅の種を麦焼酎に漬け込んだ種酒も人気。瓶の中でも熟成していき、まろやかな味わいに

他のレポートを見る