人への愛が原動力。地域を元気にするまちの酒屋さん「日向屋」|宮崎県都城市ふるさと納税特設サイト

人への愛が原動力。地域を元気にするまちの酒屋さん「日向屋」

 今回の取材は、驚きの連続でした。ここは、地域に愛される酒屋さん。「日向屋」店主、平瀬修さんの日常をたどると、常に何かを考え、昨日よりも幸せな今日を生み出そうとする向上心が見えてきます。

 「ただ、楽しく生きたいだけですよ」
 と、さらりと応える平瀬さん。その想いは、お店に入った瞬間から伝わってきました。

 

【圧倒的な商品数で、お客様を出迎える】

 お店に入るや否や、その品揃えに驚かされます。壁面には、ズラリと並ぶ焼酎の数々。その数、およそ1000アイテム。圧倒されんばかりの迫力です。さすがは焼酎王国、宮崎。こだわり方が違います。

 こうなると、店主の平瀬さんは、かなりの酒豪? 
 尋ねてみると、意外な返事が返ってきました。
「実は私、下戸なんです」

 しかし、平瀬さんの知識は、豊富です。焼酎選びに迷ったお客様にも、さまざまなアドバイスで、ベストな1本を探し出しています。お店にある焼酎は、酒蔵や特徴など、すべて頭のなかに入っているのだとか。

 

 「自分が飲まないものだから、どんな焼酎が好まれるのか、まったくわからない。そこで、配達のついでに、空き瓶の回収をはじめました。そこで知らない酒瓶を見ると、『この焼酎、おいしかった?』と聞いてみるわけです。それで、おいしいといわれた焼酎を仕入れることにしました」

 何というひらめきでしょう。発想の豊かさに、驚かされます。こうした地道な努力が実り、取り扱う焼酎はどんどん増えていきました。それに比例するように、お店の信頼も高まっていったのです。

 

 30歳のときに知人から譲り受けたという小さな酒屋は、いまや、地域にはなくてはならない存在となりました。取材中にも、お酒の相談をしにやってくるお客様が、たくさんいらっしゃいました。

 

【オリジナルラベルの焼酎をつくって地域を応援】

 店内に並ぶ焼酎には、説明が添えられています。そのなかに「日向屋オリジナル焼酎」の文字を発見。平瀬さんがプロデュースしたという焼酎が2本、並んでいます。

 そのうちの1本は、都城ご当地のお祭り「島津発祥まつり」を記念してつくられた『私領一番隊』。もう1本は、都城出身の前知事を応援する焼酎で、その名も『そのまんま東妻泉』。前知事が通ったという都城の小中高校名から一文字ずつとって、名づけたといいます。この「東」と「泉」を組み合わせれば、「とうせん(当選)」、「妻」と「泉」を組み合わせれば、「さいせん(再選)」。シャレも効いています。
 ラベルも、平瀬さんのお手製。この独創性に、またまた驚かされます。

 『私領一番隊』を飲ませていただきました。宮崎紅寿というサツマイモを使った本格芋焼酎で、香りがよく、さっぱりとした味わい。いくらでも飲めてしまいます。

 

【お茶やピーマンが原料の焼酎があるの?!】

 焼酎といえば、芋や麦、米が定番ですが、なかには珍しい原料からつくられたものもあります。ワサビや柿、カボチャ、ピーマン、アロエ、山芋、お茶など、意表をつくものばかり。焼酎の原料が、これほど多岐にわたるとは、知りませんでした。

 何でも、でんぷん質が含まれている食材であれば、焼酎にできるのだとか。そのため、焼酎の原料となりうる食材は、50種類もあるそうです。
「このユニークさも、焼酎の魅力。遊び心で、珍しい焼酎を探しています」

 

【自作の一句で場を和ませ、看板づくりで地域貢献】

 平瀬さんのライフワークは、多彩です。そのなかでも川柳は、毎朝、目覚めの五七五を詠み、書き綴っているとか。「愛妻川柳」「同窓会川柳」「焼酎川柳」」と、テーマ別で作品をまとめています。頭に浮かんだ言葉や心に留った言葉も、すぐにメモ。これまでにつくった句は、1000句におよびます。

 

 絵のセンスも、なかなかなものです。その腕前を買われて、お祭り用の横断幕を描いたり、町内に設置する看板をつくったり。地域からも頼りにされていることがよくわかります。

 酒税に関係する酒屋さん向けの研修会では、都城でただ一人の有資格者として講師を努めます。難しい講義内容をいかに分かりやすく伝えるか、工夫をこらします。どんなときでも、「とにかく楽しく」がモットー。出会った人を幸せにしたい。その想いがあふれています。

 

【生きている限り、ボランティア活動を続けたい】

 平瀬さんには、もう一つの顔があります。それは、保護司としての一面です。保護司とは、犯罪や非行をおかしてしまった人を見守り、更生へのサポートをする人のこと。平瀬さんは、少年院を出所した若者に寄り添い、社会貢献を応援しています。

 「彼らの父親になりたいと思っていましたが、いつの間にか、孫のような気持ちで接するようになりました。さまざまな不幸が重なって、道を外してしまった子もいる。僕にできることをして、彼らを助けたいんです」

 昨年、平瀬さんにとって嬉しい出来事がありました。それは、保護司として担当した青年が、足場作業の仕事を根気よく続け、年末にお餅を持ってきてくれたというのです。
「保護司名利につきます」
 と話ながら、瞳がうるむ姿に、喜びの大きさが伝わります。そして、
「命ある限り、ボランティア活動を続けたいと思っています」
 と、続けてくれました。

 平瀬さんの原動力は、人への深い愛情。つねに、誰かの笑顔を想像して、動く。そのあたたかな気持ちにふれて、私たちの心にも、ふんわりと笑顔の花が咲いたようでした。

 

〈編集部コメント〉

 平瀬さんは、人の心をゆたかに耕す人でした。随所に「なるほどな?」とうならせる気遣いが隠されています。たとえば、何気なくのぞいた冷蔵庫。中のビールは、すべて裏返しに陳列されていました。その理由は、缶の底に賞味期限が印字されているから。ビールは鮮度が命。なるべくおいしいビールを味わってほしいとの配慮です。
 常に感謝の心でお客様と対峙する平瀬さん。ふるさと納税でご縁を結んだお客様は、もうすぐ1万人に達するといいます。それを記念して、1万人目のお客様には、プレゼントを用意する予定だとか。アイデアをしぼり、お客様を喜ばせる。その実直なお人柄に、驚きと感動の連続でした。

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